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店舗の原状回復費用を相場より安く抑えるコツを解説。「居抜き退店」のメリットとは?

2026-09-28 15:54:43.0 更新

店舗を閉める決断をしたものの、退店時に重くのしかかるのが原状回復費用です。「見積もりを見たら、想定の倍以上の金額だった」「スケルトン工事まで求められて資金が足りない」と頭を抱えるオーナー様は少なくありません。この記事では、店舗の原状回復費用の相場から、費用が高額になる理由、そして費用を適正価格まで下げるための具体的な交渉術について解説します。さらに、原状回復費用そのものをゼロに近づける「居抜き退店」という賢い選択肢についても詳しくお伝えします。

この記事は、こんな人におすすめです

・店舗の閉店や移転を検討し始めた経営者の方
・管理会社から提示された原状回復の見積もりが高いと感じている方
・原状回復工事の相場や内訳の妥当性を知りたい方
・閉店にかかるコストを極力ゼロに近づけたい方

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店舗の原状回復が意味する範囲と注意点

店舗における原状回復とは、原則として物件を借りた時の状態に戻して貸主に返還することを意味します。ここで注意しなければならないのは、一般的な居住用の賃貸物件と事業用の店舗物件ではルールが大きく異なるという点です。

居住用物件の場合は経年劣化や通常損耗の修繕費用を貸主が負担することが多いですが、店舗のような事業用物件では、これらの修繕も含めて借主が負担する特約が結ばれているケースがほとんどです。どこまで壊して直せばいいのかという疑問に対しては、借りた時の状態が基準になります。

【参考】 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについて」

スケルトン渡しと居抜き渡しの違い

店舗を借りた時の状態には、大きく分けて二つのパターンが存在します。一つ目は、内装や設備が一切ないコンクリート打ちっぱなしの状態である「スケルトン渡し」です。二つ目は、前テナントの内装や造作設備が残った状態で引き渡される「居抜き渡し」です。

スケルトン渡しで入居した場合は、退店時に自身で作った内装をすべて解体し、何もないスケルトンの状態に戻す必要があります。一方で、居抜き渡しで入居した場合、どこまで戻す必要があるのかは契約によって異なります。居抜きで入ったのだからそのまま返せばよいと自己判断せず、入居時の状態と契約内容を照らし合わせることが重要です。

賃貸借契約書の特約事項を再確認する

原状回復の範囲や条件を正確に把握するためには、賃貸借契約書の特約事項を確認することが不可欠です。契約書には、原状回復の範囲はスケルトン状態とする、あるいは指定業者が工事を行うといった具体的な文言が記載されています。

管理会社の言う通りにすべて工事をしなければならないのかと疑問に思うかもしれませんが、法的な根拠となるのはあくまで契約書の内容です。まずは手元にある契約書を読み込み、自身が負っている原状回復義務の範囲を正しく理解することが、適正な費用で退店するための第一歩となります。

店舗の原状回復費用の相場と高額になる理由

自分の店舗を原状回復する場合、大体いくらかかるのかは多くのオーナー様が最も気にするポイントです。店舗の原状回復費用は坪単価で計算されることが多く、一般的なオフィスや住居と比べて高額になりがちです。その背景には、業種特有の特殊な設備や、ビル特有の工事区分といった要因が絡んでいます。

原状回復工事の見積書の内訳(どんな項目があるのか?)

提示された見積もりが妥当かどうかを判断するためには、どのような項目に費用がかかっているのかを知る必要があります。見積書には、主に「仮設工事費」「解体工事費」「廃棄物処理費用」などが記載されます。

仮設工事費は、足場の組み立てや周囲を汚さないための養生シートなど、工事をスムーズに行うための準備費用です。解体工事費は、内装や造作設備を実際に壊して撤去するための費用であり、規模や材質によって大きく変動します。そして、解体によって出た木材やコンクリート片などの産業廃棄物を法律に則って運搬・処分するのが廃棄物処理費用です。これらの専門用語を把握した上で手元の見積書と照らし合わせ、不明な項目があれば遠慮なく業者に確認しましょう。

業種ごとの坪単価の目安

店舗の原状回復費用は、業種や内装の作り込み度合いによって大きく変動します。以下に業種別のざっくりとした坪単価の相場をまとめました。

業種 坪単価の相場(目安) 費用の傾向と理由
カフェ・レストランなどの飲食店 5万円 ~ 10万円 厨房設備・防水工事・排気ダクトなどの解体や撤去があるため高額になりやすい。
美容室・サロン 4万円 ~ 8万円 水回り設備やシャンプー台の配管撤去、特殊な照明設備の撤去費用がかかる。
アパレル・物販店 3万円 ~ 6万円 比較的シンプルな内装が多く、大掛かりな設備撤去が少ないため費用は抑えめ。
一般オフィス 2万円 ~ 5万円 間仕切りの撤去や原状復帰が中心となるため、店舗系の中では比較的安価。

このように、厨房設備や水回りの配管が複雑な飲食店は解体に手間がかかるため、坪単価が高くなる傾向にあります。例えば、焼肉店やラーメン店といった重飲食の場合は、油汚れがひどい排気ダクトの清掃や撤去、厨房の床に施された防水層の解体など大掛かりな作業が追加されるため、坪単価が10万円を超えるケースも決して珍しくありません。

また、美容室のシャンプー台のように床下に特殊な配管を張り巡らせている場合も、床をはがして復旧する費用がかさむ要因となります。ご自身の店舗の設備状況と照らし合わせて、見積もりの妥当性を判断する材料にしてください。

指定業者制度が見積もりを高くする要因

なぜ店舗の原状回復では、想定よりもはるかに高い見積もりが出てくるのでしょうか。その大きな理由の一つが、ビルオーナーや管理会社が指定する工事業者に依頼しなければならない指定業者制度です。大型の商業施設やオフィスビルでは、建物の安全性を担保するために工事区分が設定されています。

借主の費用負担で貸主の指定業者が行う工事をB工事、借主が自身の費用で自由に業者を選べる工事をC工事と呼びます。原状回復工事がB工事に指定されている場合、相見積もりによる競争原理が働かないため、業者の言い値になりやすく、中間マージンも上乗せされて割高な見積もりになりがちです。

原状回復費用を少しでも安く抑える具体的なアプローチ


画像素材:PIXTA

手元にある高額な見積もりを前に諦める必要はありません。見積もりの内容を精査し、適切な手順を踏んで交渉を行うことで、原状回復費用を適正価格まで下げることは十分に可能です。ここでは、コスト削減のための具体的なステップを解説します。

専門業者へ相見積もりを依頼して適正価格を知る

別の業者に頼むことが契約上難しい場合でも、まずは原状回復を専門とする第三者の業者に相見積もりを依頼することをおすすめします。現在の高額な見積もりが市場の相場とどの程度かけ離れているのか、適正価格を知ることが重要です。第三者の見積もりという客観的なデータを入手することで、その後の減額交渉を有利に進めるための強力なカードを手に入れることができます。

オーナーや管理会社へ減額交渉を行う

相見積もりを取得して適正価格を把握したら、オーナーや管理会社へ交渉を切り出します。交渉を切り出す際は、いきなり見積もりが高すぎるとクレームをつけるのではなく、相見積もりの結果を提示しながら誠実に相談する姿勢が大切です。

具体的には、項目ごとの単価の違いや不要な工事が含まれていないかを指摘し、減額の相談、あるいは自身で見つけた安い業者(C工事)へ変更できないかといった打診を行います。

交渉時にやってはいけないトラブル回避策

交渉をして大家さんと揉めてしまっては元も子もありません。感情的な対立は解決を遠ざけるだけです。また、無断で別の業者を手配して解体工事を始めてしまうなどの行動は、契約違反となり多額の違約金を請求される恐れがあるため絶対に避けてください。あくまで賃貸借契約に基づき、法的に不利にならないよう、双方が納得できる円満な着地点を探ることがトラブル回避の要です。

大幅なコスト削減が狙える居抜き退店を検討する

交渉によって原状回復費用を下げることができたとしても、工事費用そのものは発生してしまいます。

そこで、工事をせずに退店する画期的な方法として「居抜き退店」をおすすめします。これは、現在の内装や造作設備をそのまま次のテナントに引き継ぐ方法です。原状回復工事を回避できるだけでなく、店舗の造作物を売却することで資金を手に入れられる可能性があります。契約書に造作買取請求権の放棄が記載されていても、次の借り手を自分で見つけて造作譲渡契約を結べば成立するケースは多々あります。コストを劇的に削減したい場合は、早い段階で専門家に相談することが成功の鍵です。

造作譲渡や居抜き売却に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。

▼居抜き売却とは?いまさら聞けない、飲食店の居抜き売却のメリット・デメリットを解説

▼飲食店の「居抜き物件」「造作譲渡」についての基礎知識。出店者が押さえておきたいポイントは?

店舗の原状回復費用の勘定科目と仕訳方法


画像素材:PIXTA

無事に原状回復工事を終えて退店した場合、その費用はどう帳簿につければいいのでしょうか。経理処理の基本を正しく理解しておくことは、適切な決算を迎えるために不可欠です。

修繕費か固定資産の除却損かの判断基準

原状回復にかかった費用は、原則として修繕費の勘定科目で処理されるケースが一般的です。しかし、入居時に自身で設置した内装や設備を固定資産として計上しており、退店時にそれらを取り壊す場合は注意が必要です。固定資産が残っている状態で解体する場合、その資産の未償却残高を固定資産除却損として計上するとともに、解体にかかった費用も除却損に含めて処理することがあります。金額や資産の状況によって適切な仕訳方法は異なるため、正確な判断が求められます。

【参考】国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」

居抜き退店で閉店コストを最小化するためのステップ

原状回復の負担をなくし、閉店コストを最小化する居抜き退店ですが、成功させるためには正しい手順を踏む必要があります。何から始めればいいのか迷う方も多いですが、重要なのはタイミングと専門家のサポートです。

解約予告を出す前に専門業者へ相談する

居抜き退店を目指す上でいつ相談するのがベストかと言えば、間違いなく家主へ解約予告を出す前です。賃貸借契約では、解約の数ヶ月前までに予告することが義務付けられていますが、一度解約予告を出してしまうと、スケルトンに戻す原状回復工事のスケジュールが強制的に組まれてしまうことが多く、居抜きでの交渉が非常に難しくなります。閉店を検討し始めた段階で、まずは居抜き物件を扱う専門業者へ相談し、今後の戦略を練ることが必須です。

次の借り手を見つけて家主の承諾を得る

居抜き退店を成立させる最大のハードルは、家主の許可を得ることです。家主が許可してくれるか不安に思うかもしれませんが、優良な次の借り手(新テナント)をスピーディーに見つけることができれば、家主にとっても空室期間を防げるというメリットがあり、承諾を得やすくなります。そのためには、店舗物件のマッチングに強いプロの仲介業者を間に入れることが最も確実な方法です。

現在、店舗の退店や原状回復費用の見積もりでお悩みの方は、ぜひ一度、当社の居抜き売却査定・相談サービスまでお問い合わせください。経験豊富なスタッフが、最適な退店プランをご提案いたします。

Q&A

Q. 居抜きで入居した物件ですが、退店時はどこまで原状回復を行う必要がありますか?
A. 契約書の内容によって異なります。居抜きで入居した場合でも、契約書の特約で「スケルトン戻し」と規定されている場合は、前テナントが残した設備も含めてすべて撤去しなければならないケースがあります。まずは賃貸借契約書を細部までご確認ください。

Q. ビル指定業者の見積もりが相場より高すぎる場合、絶対にその業者に頼まなければいけませんか?
A. 契約でB工事(指定業者による工事)と定められている場合は、原則として業者を変更することは困難です。ただし、第三者の専門業者から取得した適正価格の相見積もりを根拠に、管理会社や指定業者へ金額の減額交渉を行うことは十分に可能です。

Q. すでに管理会社へ解約予告を出してしまった後でも、居抜き退店への切り替えは可能ですか?
A. 非常に難易度は上がりますが、不可能なわけではありません。管理会社がまだ次の募集活動や解体工事の手配を本格化させていない段階であれば、交渉の余地が残されている場合があります。一刻も早く、居抜き売却の専門業者へご相談ください。

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この記事を監修した人

三宅 宏通

株式会社ウィット 代表取締役

飲食業界に特化したM&Aサービスを主業とし、2007年株式会社ウィットを設立。

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