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店舗譲渡契約書の無料Wordテンプレート。記載すべき項目とトラブルを防ぐポイント

2026-07-31 15:22:01.0 更新

店舗の閉店や移転を決断したとき、内装や厨房機器などを残したまま居抜きで譲渡できれば、原状回復費用を抑えながら、設備などを売却できる可能性があります。

ただし、一口に店舗譲渡といっても、内装・設備などの造作だけを売買する場合と、屋号や営業上の権利などを含めて事業を引き継ぐ場合とでは、契約内容が異なります。トラブルを防ぐには、譲渡するもの、代金、引渡しの時期、設備の状態、責任の範囲などを店舗譲渡契約書に具体的に記載することが重要です。

本記事では、店舗譲渡契約書に記載しておきたい項目と条文例、無料で使えるひな形の活用方法を解説します。収入印紙の要否、個人間取引、貸主の承諾、営業許可の承継手続についても確認していきましょう。

この記事は、こんな人におすすめです。

・店舗の売却や譲渡が決まり、契約書に何を記載すべきか知りたい人
・今すぐ使える無料の店舗譲渡契約書のひな形(テンプレート)を探している人
・契約不適合責任(瑕疵担保責任)など、契約特有の専門用語をわかりやすく理解したい人
・個人間で店舗を引き継ぐ予定があり、収入印紙の扱いや後々のトラブルを防ぐ方法を知りたい人

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店舗譲渡契約書とは?造作譲渡契約書との違いと基本的な役割

店舗譲渡契約書とは、店舗の引継ぎに伴って、内装、厨房機器、空調設備、什器、備品などの譲渡条件を定める契約書の総称です。法律によって名称や記載内容が一律に定められた契約書ではありません。

内装や設備などの有形資産だけを譲渡する契約は、一般に「造作譲渡契約」と呼ばれます。一方、店舗の設備だけでなく、屋号、営業上の権利、ノウハウなどを含む事業を引き継ぐ場合は、「事業譲渡契約」や「営業譲渡契約」と呼ばれることがあります。

本記事では、主に居抜き物件における造作や設備の譲渡を想定し、「店舗譲渡契約書」と表記します。

店舗譲渡契約書には、売り手が所有する造作や設備のうち、何をいくらで譲渡するのか、いつ引き渡すのか、所有権をいつ移転するのか、故障や不具合が見つかった場合に誰が責任を負うのかなどを記載します。リース品、レンタル品、貸主が所有する設備など、売り手に処分する権限がないものは、原則として譲渡できません。

契約書を作成しなくても、当事者間の合意によって売買契約が成立する場合はあります。しかし、書面を残していないと、引渡し後に「どの設備が譲渡対象だったのか」「不具合は事前に説明されていたのか」といった合意内容を証明することが難しくなります。

また、譲渡対象となる設備が特定されている場合、売り手は引渡しまで、契約内容や取引上の社会通念に応じた注意をもって設備を保存する義務を負います。

なお、店舗譲渡契約と店舗の賃貸借契約は別の契約です。店舗譲渡契約を締結しただけでは、買い手がその物件を使用できるようになるわけではありません。賃借権を引き継ぐ場合には貸主の承諾が必要であり、実務上は、前借主との契約を終了させたうえで、新たに買い手と貸主との間で賃貸借契約を結ぶこともあります。

店舗譲渡契約書の主な役割は、売り手と買い手の合意内容や責任の範囲を明確にし、引渡し後のトラブルを予防することです。

店舗譲渡契約書に記載しておきたい主な項目(条文例あり)

店舗譲渡契約書に必要な内容は、造作だけを譲渡するのか、屋号や営業上の権利なども含めるのかによって異なります。ただし、譲渡対象物、代金、引渡し、所有権の移転時期、設備の状態、貸主の承諾などは、多くの取引で重要となる項目です。

ここでは、具体的な条文例とともに、それぞれの項目を記載する目的と注意点を解説します。

譲渡対象物の特定(リスト化)

最も重要なのは、何をいくらで売るのかという譲渡対象物を明確にすることです。店舗内にあるすべてのものが譲渡されるわけではないため、対象となる厨房機器や内装設備をリスト化し、別紙の目録として添付するのが一般的な書き方となります。

【条文例】 第〇条(譲渡対象物) 甲(譲渡人)は乙(譲受人)に対し、別紙目録記載の造作、設備、備品等(以下「本件造作物」という)を譲渡し、乙はこれを譲り受ける。

譲渡代金と支払い期日・方法

続いて、譲渡代金の金額と、いつまでにどのような方法で支払うかを明記します。ここで消費税の扱いを明確にしておかないと、後から税金の負担をめぐって揉める原因となるため注意が必要です。

【条文例】 第〇条(譲渡代金と支払方法)

本件造作物の譲渡代金は、金〇〇円(うち消費税〇〇円)とする。

乙は甲に対し、令和〇年〇月〇日までに、前項の代金を甲が指定する以下の銀行口座に振り込んで支払うものとする。なお、振込手数料は乙の負担とする。

契約不適合責任(瑕疵担保責任)の免責に関する取り決め

中古設備の売買において最も頻発するのが、引き渡し後の故障トラブルです。かつては瑕疵担保責任と呼ばれていたこのルールは、現在では「契約不適合責任」と名称が変わっています。店舗譲渡では原則として現状有姿(今の状態のまま)で引き渡すため、売り手側の責任を免除する一文を入れておくことが身を守る盾となります。

【条文例】 第〇条(契約不適合責任の免責) 甲は、本件造作物を現状有姿のまま乙に引き渡すものとし、引き渡し後に本件造作物に隠れた不具合や故障等が発見された場合であっても、修補、代金減額、損害賠償など一切の契約不適合責任を負わないものとする。

リース品の引き継ぎに関する条項

店舗内にリース契約中の機器がある場合、その所有権はリース会社にあるため勝手に売却することはできません。リース品が譲渡対象物に含まれていないことを明記するか、あるいはリース会社への名義変更手続きをどちらが行うのかを取り決めておく必要があります。

【条文例】 第〇条(リース物件の取り扱い) 店舗内に存在するリース物件については、本件造作物の譲渡対象外とする。甲は自身の責任と負担において、引き渡し日までに当該リース契約の解約および物件の撤去を行うものとする。

店舗譲渡契約書のひな形・テンプレート無料ダウンロード(Word/PDF形式)

ここまで解説した必須項目をゼロから作成するのは、法的な知識がないと非常に手間がかかります。そこで、当サイトでは専門家の監修を経た安全な店舗譲渡契約書のひな形をご用意しました。

以下のリンクから、Word形式およびPDF形式のテンプレートを無料でダウンロードしていただけます。自店舗の状況に合わせて譲渡代金や日付、別紙のリストを書き換えるだけで、法的に有効な書面をスムーズに作成することが可能です。ぜひご活用ください。

【t店舗譲渡契約書テンプレート・ダウンロード】[Word形式]

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契約書作成にかかる費用(印紙税の金額一覧)

契約書を作成する際、よくある疑問が「収入印紙を貼る必要があるのか」という点です。結論から言うと、単なる内装や備品の売買(物品の譲渡)のみを目的とした造作譲渡契約書であれば、原則として印紙は不要(不課税)となるケースがほとんどです。

しかし、顧客リストや屋号、ノウハウなどを含めた「営業権(のれん)」も譲渡する場合は、「営業の譲渡に関する契約書(第1号の1文書)」に該当し、記載された契約金額に応じた収入印紙を貼付・消印する義務が生じます。なお、収入印紙を貼付した際は、再利用を防ぐために契約書と印紙の模様(彩紋)にまたがるよう、当事者双方の印鑑でしっかりと消印(割印)を押すことを忘れないようにしてください。印紙税の額は以下の表の通り段階的に定められていますので、ご自身の契約内容がどちらに該当するか、事前に税理士や税務署へ確認することをおすすめします。

契約書に記載された譲渡金額 必要な印紙税額
1万円未満 非課税
1万円以上 10万円以下 200円
10万円を超え 50万円以下 400円
50万円を超え 100万円以下 1,000円
100万円を超え 500万円以下 2,000円
500万円を超え 1,000万円以下 1万円

参照:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

個人間で店舗譲渡契約書を交わす際の注意点とよくあるトラブル

専門の仲介業者を挟まず、知人同士など個人間で店舗を譲渡する場合は、さらに慎重な対応が求められます。親しい間柄だからとひな形をそのまま使って済ませてしまうと、店舗独自の事情が反映されずトラブルの火種になりがちです。

例えば、個人間取引で見落とされやすいのが「競業避止義務」に関する取り決めです。これは、売り手がすぐ近くで同じような業態の店を新しくオープンし、既存の客を奪ってしまう行為を禁止するルールのことです。こうした細かな条件を事前に話し合い、契約書に落とし込んでおくことが重要です。また、いくら当事者同士で合意しても、大前提として物件オーナー(貸主)の承諾がなければ賃貸借契約の引き継ぎはできません。個人間で話を進める場合でも、必ず早い段階で管理会社やオーナーへ相談を行うようにしてください。

さらに、店舗譲渡において注意すべきなのが「行政手続きの引き継ぎ」です。保健所での飲食店営業許可や消防署への届出などは、そのまま次の借主に名義変更することはできません。前借主が一度廃業届を提出し、新借主が改めて新規で許可申請を行う必要があるため、オープン日に間に合うよう手続きのスケジュールも事前にすり合わせておくことが不可欠です。

安全で確実な店舗引き継ぎは、専門業者に相談

店舗譲渡契約書は、高額な資産を引き継ぐうえで双方の身を守る極めて重要な書類です。譲渡対象物の明確化から、譲渡代金の支払い方法、そして契約不適合責任の免責条項まで、必須項目を漏れなく記載することがトラブルを防ぐ第一歩となります。

無料で提供されているひな形を活用しつつも、リース品の扱いや印紙税の要否、個人間ならではの競業避止義務など、自店舗の状況に合わせたカスタマイズを忘れないでください。少しでも不安がある場合は、居抜き売却に精通した専門業者や法律の専門家に相談し、安全で確実な店舗引き継ぎを実現させましょう。

よくある質問

店舗譲渡契約書に収入印紙は必ず必要ですか? 単なる設備や備品(造作)の売買のみであれば不課税となり、印紙は不要なケースが一般的です。ただし、屋号や顧客データなどを含む「営業権」も譲渡する場合は課税文書となり、契約金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。

個人間で作成した契約書でも法的な効力はありますか? はい、個人間で作成し、双方が合意して署名捺印した契約書であれば法的な効力を持ちます。ただし、内容に不備があると後日トラブルになるため、必須項目が網羅されているか十分に確認することが重要です。

サイトにある無料のひな形をそのまま使っても大丈夫ですか? ひな形は一般的な取引を想定したベースとなるものです。店舗ごとに設備の状況やリース品の有無、物件オーナーの意向が異なるため、内容をよく読み、ご自身の状況に合わせて条文を調整・追記してご使用ください。

「造作譲渡契約」と「店舗譲渡契約(営業譲渡)」は何が違うのですか? 「造作譲渡」は主に内装や厨房機器といった「モノ(有形資産)」の売買を指します。一方、「店舗譲渡(営業譲渡)」はモノだけでなく、屋号、スタッフ、ノウハウ、顧客リストといった「目に見えない価値(無形資産・のれん)」も含めてビジネスそのものを引き継ぐことを意味します。

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この記事を監修した人

三宅 宏通

株式会社ウィット 代表取締役

飲食業界に特化したM&Aサービスを主業とし、2007年株式会社ウィットを設立。

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