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飲食店の原状回復、どうする? 費用を安く抑える方法と相場を徹底解説

2026-08-31 15:38:56.0 更新

店舗を閉める決断をしたものの、退去時の原状回復工事の見積もりを見て、あまりの高額さに頭を抱えていませんか。飲食店の場合、特別な設備が多いため、一般的なオフィスなどと比べて原状回復費用が高騰しがちです。

この記事では、飲食店の原状回復費用の相場や高額になる理由を解説するとともに、費用を劇的に抑える「居抜き退去」という有効な解決策について詳しくお伝えします。金銭的な負担やトラブルを最小限に抑えて、スムーズに次のステップへ進む方法がわかります。

この記事は、こんな人におすすめです

・飲食店の閉店を検討しており、退去費用がいくらかかるか知りたい方
・原状回復工事の見積もりが想定より高く、少しでも安くしたい方
・スケルトン戻しではなく、内装や設備を残したまま退去できないか悩んでいる方
・退去時の違約金や貸主とのトラブルを防ぎ、円滑に解約手続きを進めたい方

目次

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飲食店の原状回復工事について知っておくべきこと

店舗を退去する際、必ず直面するのが原状回復という作業です。ただ単に掃除をして鍵を返すだけではなく、借りた時の状態に戻して貸主に返還する義務が生じます。

特に飲食店の場合、どこまで元の状態に戻す必要があるのかという定義と、賃貸借契約書の内容を正確に把握しておくことが何よりも重要です。ここを曖昧にしたまま退去の手続きを進めると、後々想定外の出費を強いられることになりかねません。

スケルトン戻しとの違いを正しく理解する

原状回復とよく混同される言葉にスケルトン工事があります。原状回復とは、あくまで物件を入居した時の状態に戻すことを指します。つまり、コンクリート打ちっぱなしのスケルトン状態で物件を借りたのであれば、退去時にも内装や設備をすべて解体・撤去し、スケルトン状態に戻して返却しなければなりません。

一方で、前のテナントの内装を引き継ぐ居抜き入居をした場合でも、契約上はスケルトン戻しが義務付けられているケースが非常に多く見られます。自分たちが造作したわけではない設備であっても、退去時には更地に等しい状態まで戻す費用を負担しなければならない可能性があるため、注意が必要です。

賃貸借契約書の特約事項を必ず確認する

大家さんの意向や業者の言いなりになって無駄な工事費用を払わないためにも、手元にある賃貸借契約書を隅々まで読み返すことが大切です。一般的な法律の原則よりも、契約書に記載された特約事項が優先されるのが不動産賃貸のルールです。特約事項には、原状回復の範囲や指定業者の有無、さらには経年劣化による修繕費用をどちらが負担するかといった重要な取り決めが記載されています。この契約内容を正しく理解しておくことが、不当な請求を防ぎ、自分の身を守るための最大の武器となります。


画像素材:PIXTA

飲食店の原状回復にかかる費用相場と内訳

いざ工事を行うとなると、自分の店舗では一体どれくらいの費用がかかるのか不安になるものです。一般的なオフィスや物販店と比べ、飲食店は水回りや排気設備などの特殊な設備が多いため、解体や撤去にかかる費用が跳ね上がりやすい傾向にあります。工事の相場は一般的に坪単価で計算されることが多く、業態や店舗の広さによって金額は大きく変動します。

業態や店舗面積別の坪単価の目安

飲食店の原状回復費用は、大きく分けてカフェなどの軽飲食と、焼肉店やラーメン店などの重飲食で相場が異なります。大掛かりな厨房設備が少ない軽飲食であれば、坪単価はおおよそ3万円から5万円程度に収まることが一般的です。しかし、大型のダクトやグリストラップ、防水工事などが施されている重飲食となると、坪単価が5万円から10万円以上になるケースも珍しくありません。

ここで、業態ごとの原状回復費用の相場目安を比較表としてまとめましたので参考にしてください。

業態の分類 具体的な店舗例 坪単価の目安 費用の傾向
軽飲食 カフェ、バー、喫茶店など 30,000円〜50,000円 設備が比較的シンプルで解体費用が抑えやすい
重飲食 焼肉、ラーメン、中華料理など 50,000円〜100,000円以上 給排水や排気設備が複雑で廃棄物も多く高額になる
スケルトン戻し 全業態共通(内装全解体) 80,000円〜150,000円程度 床や天井の解体も含め、最も費用負担が大きい

飲食店の原状回復費用が高額になってしまう主な理由と内訳

見積もりを見てその金額に驚く方は少なくありません。飲食店特有の高額になる理由として、まず専門的な撤去工事が必要な点が挙げられます。床に埋まったグリストラップの撤去や、屋上まで伸びる排気ダクトの解体は、専門的な技術と重機を要するため人件費がかさみます。

また、テナントビルや商業施設に入居している場合、近隣への騒音や振動を考慮して深夜にしか工事ができないという制約がつくことが多く、夜間作業の割増料金が見積もりを押し上げる大きな要因となっています。

具体的に、見積書に記載される主な費用としては以下がかかります。

・「内装解体費」
壁、天井、床の造作物や間仕切りを解体し、スケルトン状態に戻す費用です。造り込みが複雑なほどこの金額は上がります。
・「設備撤去費」
厨房機器や空調設備、給排水管や排気ダクトを取り外す費用です。
・「廃棄物処理費」
第三に解体によって生じた木材やコンクリート片などの産業廃棄物を運搬・処分する費用です。
・「仮設工事費」
工事期間中の安全確保や周囲を汚さないための養生を行う費用、

その他、業者の現場管理費や書類作成費などの「諸経費」が積み重なって全体の金額が決定します。

参考までに、一般的な「20坪の居酒屋(重飲食・スケルトン戻し)」を想定した見積書のサンプルと費用の目安は以下のようになります。

項目 費用の目安(20坪想定) 備考
内装解体費 50万円〜80万円 造り込み(座敷や個室、カウンターなど)が複雑なほど高額になります。
設備撤去費 40万円〜60万円 大型厨房機器、排気ダクト、グリストラップなどの撤去を含みます。
廃棄物処理費 40万円〜60万円 近年、産業廃棄物の処分費は全国的に高騰傾向にあります。
仮設工事費 15万円〜20万円 足場の組み立てや、共用部の養生シート設置などにかかる費用です。
諸経費 15万円〜20万円 現場管理費、交通費、各種申請書類の作成費などが含まれます。
合計(概算) 160万円〜240万円 坪単価8万円〜12万円程度。夜間工事指定の場合はさらに割増になります。

原状回復費用を大幅に抑えるための具体的な方法

高額な見積もりを出されたからといって、そのまま鵜呑みにして支払う必要はありません。適正な価格まで下げるための具体的な行動を起こすことで、数百万円単位で費用を削減できる可能性があります。見積もりの精査から大家さんとの話し合い、そして全く別のアプローチまで、費用を抑えるための知恵を絞ることが重要です。


画像素材:PIXTA

複数の専門業者から相見積もりを取得する

最初に行うべきことは、必ず3社以上の専門業者から見積もりをとって比較検討することです。1社だけの見積もりでは、その金額が相場に対して適正なのか、無駄な項目が含まれていないかを判断することができません。解体工事費、廃棄物処理費、仮設工事費などの項目ごとに単価を見比べ、不自然に高い部分があれば遠慮なく業者に質問することが大切です。競争原理が働くことで、自然と適正な価格帯へと落ち着いていきます。

貸主と工事区分や範囲について交渉する

テナントの工事には、貸主が費用を負担する「A工事」、借主が費用を負担するものの貸主が業者を指定する「B工事」、借主が業者を選定し費用を負担する「C工事」という3つの区分があります。大家さんが指定する業者で工事を行わなければならないB工事の指定がある場合でも諦める必要はありません。見積もりの内容を精査し、借主が負担しなくてもよいA工事の領域が含まれていないかを確認します。

また、民法の原則や国土交通省が定めているガイドラインに照らし合わせると、通常の使用による損耗や、耐用年数を超えた設備の経年劣化による修繕は、本来貸主が負担すべきものとされています。退去時の原状回復工事は、原則として修繕費として計上されますが、設備の耐用年数や減価償却の考え方を理解しておくことも、不当な負担を避ける一助となります。これらの知識を盾にして、貸主に負担区分を見直すよう誠実に交渉することで、見積もり額を減額できる余地は十分にあります。

参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

居抜き退去という選択肢で費用を実質ゼロにする

高額な工事費用を回避するための最も効果的な解決策が、居抜き退去という選択です。これは、今の店舗の内装や厨房設備をそのままの状態で次のテナントに買い取ってもらう「造作譲渡」という手法です。この方法が成立すれば、C工事で造作した内装や設備の解体工事を行う必要がなくなるため、原状回復費用は実質ゼロになります。それだけでなく、設備を買い取ってもらうことで売却益を得られる可能性すらあります。原状回復で資金をすり減らすのではなく、居抜き物件として売却できるかどうか、まずは実績のある専門サイトへ相談してみることを強くおすすめします。

居抜き退去を利用して店舗を賢く閉める5つのステップ

居抜き退去は借主にとって非常にメリットの大きい方法ですが、勝手に進めることはできません。成功させるためには、事前の準備から契約を結ぶまで、正しい順番でステップを踏んでいくことが不可欠です。

1.解約届の提出(解約予告)前に専門業者へ相談する

居抜きでの退去を成功させる上で最も重要な第一歩は、オーナーへ解約届(解約予告)を提出する前に、居抜き専門の仲介業者へ売却の相談を行うことです。いきなり解約届を提出してしまうと、契約書の原則通り「スケルトン戻しでの原状回復」を求められ、居抜き退去の道が絶たれてしまうリスクがあります。

まずはプロの専門業者に相談し、水面下で買い手(次のテナント)の候補を見つける準備を進めることが、最も確実で安全なアプローチとなります。

2.譲渡する造作物のリスト作成と適正な価格設定

次に譲渡する造作物のリスト作成を行います。店舗内にある厨房機器の型番や購入年、内装の構成などをスプレッドシート等に細かく洗い出し、資産目録を作ります。

このリストを基に、周辺の需要や設備の減価償却状況を考慮して、適正な価格設定を行います。ここで欲張って相場よりも高すぎる金額を設定してしまうと、買い手探しが難航し、結果的に退去期限が迫って大損することになりかねないため、プロの意見を参考にしながら現実的なラインを見極めることが大切です。

3.新しい借主となる買い手を探す

リストと価格が決まったら、いよいよ新しい借主となる買い手探しをスタートします。自力でSNSや知人のツテを頼って探すことも不可能ではありませんが、広くスピーディーに買い手を見つけるには、居抜き物件専門の仲介業者や店舗売却マッチングプラットフォームを利用するのが最も賢明な選択です。

専門業者は、出店を希望して物件情報を待っている膨大な顧客リストを抱えているため、一般に公開する前段階の水面下でスピード成約に至るケースも非常に多く、営業秘密を守りながら売却を進めたい場合にも適しています。

4.オーナーの承諾取得・条件交渉と造作譲渡契約を結ぶ

購入希望者が現れ、内見を経て前向きな意思表示が得られたら、ここで「このような優良な次のテナントがいます」という具体的な条件とセットで、オーナー(貸主)へ居抜き退去の承諾を打診します。次の入居者が決まっている状態であれば、オーナー側も家賃収入が途切れないため、スムーズに許可を得やすくなります。

オーナーからの承諾が得られたら、譲渡料の最終金額や引き渡しの期日など詳細な条件交渉を行い、前借主と新借主の間で契約を正式に締結します。契約書には、万が一引き渡し後に設備が故障していた場合の免責事項などを必ず明記し、後々のトラブルを防ぎます。

5.物件の引き渡し・解約手続きを行う

最後のステップは、物件の引き渡しと解約手続きです。新借主から造作譲渡料の決済が行われたことを確認した後、実際の店舗で機器の最終動作確認を行い、鍵の引き渡しを行います。

これと完全に連動する形で、前借主の賃貸借契約の解約手続きと、新借主の新たな賃貸借契約の締結がオーナーとの間で同時に執り行われます。これらすべての手続きが滞りなく完了して初めて、居抜き退去の一連の流れが完結します。


画像素材:PIXTA

飲食店の退去と原状回復でよくあるトラブルと回避策

店舗の退去時には、大きなお金が動くことや当事者間の認識のズレから、さまざまなトラブルが発生しがちです。ここでは実際によく起きるトラブル事例と、それを未然に防ぐための具体的な予防策をご紹介します。

指定業者の見積もりが相場より不当に高い場合の対処法

ビルや商業施設の場合、大家さんが指定した業者しか工事に入れないというB工事の契約になっていることが多々あります。このようなケースでは、競争がないため見積もりが相場よりも不当に高額になることがよくあります。高すぎる請求に対して泣き寝入りするのではなく、まずは自分で別の業者から相見積もりを取得してください。その適正な見積もりを大家さんや管理会社に提示し、「なぜこれほどの価格差があるのか」を論理的に説明して価格交渉を粘り強く行うことが解決への糸口となります。

工事遅延で明け渡し期日を過ぎて違約金が発生するリスク

退去手続きにおいてスケジュールの管理ミスは致命傷になります。業者の選定に時間がかかったり、工事の着工が遅れたりして契約で定められた明け渡し期日に間に合わないと、遅延損害金として家賃の倍額以上の違約金を請求される恐れがあります。退去日が決まったら、そこから逆算して余裕のある工事スケジュールを組み、不測の事態にも対応できるよう業者と綿密に打ち合わせをしておくことが欠かせません。

原状回復トラブル防止チェックリスト

退去手続きをスムーズに進め、無用なトラブルを防ぐためのポイントを一覧にまとめました。行動を起こす前に、以下の項目を必ずチェックしてください。

・賃貸借契約書の「解約予告期間」と「原状回復の範囲」を正確に把握しているか
・入居時に撮影した店舗の初期状態がわかる写真や図面は手元にあるか
・大家さんに解約を伝える前に、専門業者に居抜き売却の査定を依頼したか
・B工事指定の有無を確認し、指定業者の見積もりと他社の相見積もりを比較したか
・国土交通省のガイドラインに基づき、貸主負担(経年劣化など)の部分が含まれていないか確認したか
・工事スケジュールは、明け渡し期日に対して十分な余裕を持たせているか

飲食店の閉店費用にお悩みなら居抜き売却を検討しよう

これまで解説してきたように、飲食店の原状回復には多額の費用と労力がかかります。高額な見積もりに頭を悩ませ、退去費用で手元資金を失ってしまう前に、ぜひ「居抜き退去(造作譲渡)」という選択肢を検討してみてください。

内装や設備に価値を見出してくれる次の借主を見つけることができれば、原状回復の工事費用がゼロになるだけでなく、売却によって新たな資金を手にできる可能性が広がります。店舗の閉店でお悩みの方は、ひとりで抱え込まず、まずは無料査定を行っている居抜き物件売却の専門サイトへご相談ください。

飲食店の原状回復・退去に関するよくある質問

原状回復や退去の手続きに関して、多くの方が抱きやすい疑問をまとめました。

費用の支払いタイミングはいつ?

工事費用の支払いは、業者によって異なりますが、工事の着工前や作業がすべて完了して物件を引き渡すタイミングで行うのが一般的です。また、入居時に大家さんへ預けている保証金や敷金がある場合は、そこから原状回復費用が差し引かれ(相殺され)、残った金額が後日返還されるという流れになることも多くあります。まずは大家さんや業者に支払いの流れを確認しておきましょう。

居抜きで入居した場合の原状回復の範囲は?

前のテナントの設備をそのまま引き継いで居抜きで入居した場合、「自分が作った内装ではないから壊さなくていいだろう」と考えがちですが、それは誤りです。契約書に特約がない限り、退去時には以前のテナントの造作も含めてすべて撤去し、スケルトン状態に戻す義務を負うのが一般的なルールとなっています。入居前の状態ではなく、建物の初期状態に戻すことが求められる点に注意してください。

解約の申し入れ(解約予告)は退去の何ヶ月前に行うべき?

飲食店の場合、賃貸借契約書において「解約の3ヶ月前〜6ヶ月前」に通知することが定められているケースがほとんどです。居抜き退去を目指す場合は、この解約予告を大家さんに出す前に専門業者に相談することが成功の秘訣です。

耐用年数を超えた古い厨房機器でも居抜きで買い取ってもらえる?

機器単体の価値は下がりますが、ダクトやグリストラップ、防水加工された床など「飲食店としてのインフラ」が整っていること自体に価値があります。そのため、古い機器が含まれていても、減価償却が終わっているような設備であっても、店舗全体として需要があれば十分に譲渡は可能です。

大家さんが居抜き退去を認めてくれない場合の対処法は?

大家さんが居抜きに難色を示す理由は、過去にテナント同士のトラブルを経験していたり、建物の老朽化で一度設備をリセットしたかったりと様々です。個人的にお願いして断られた場合でも、すぐに諦める必要はありません。不動産や居抜きの専門業者を間に立て、しっかりとした事業計画を持つ買い手を紹介し、大家さんにとって不利益がないことを論理的に説明し直すことで、方針を覆して承諾してくれるケースは多々あります。見積もりが出てから価格交渉や大家さんとの協議を行うためには、最低でも2週間から1ヶ月程度の余裕を持っておくことをおすすめします。

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この記事を監修した人

三宅 宏通

株式会社ウィット 代表取締役

飲食業界に特化したM&Aサービスを主業とし、2007年株式会社ウィットを設立。

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