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造作譲渡とは?メリットや相場、退去費用を大幅に抑える手順まで徹底解説

2026-06-30 18:27:16.0 更新


画像素材:PIXTA

店舗の閉店や移転を決断したとき、多くの経営者を悩ませるのが高額な原状回復費用です。退去するだけで数百万円が飛んでいく状況を打破し、手元に資金を残せる可能性を秘めているのが「造作譲渡」です。本記事では、造作譲渡の基本的な仕組みやメリット・デメリットはもちろん、気になる譲渡料の相場や税金の扱い、さらには混同されやすい「造作買取請求権」との違いまで、店舗の売却を成功させるための全手順を網羅して解説します。

この記事は、こんな人におすすめです。

・店舗の閉店や移転に伴う高額な退去費用(原状回復費用)に悩んでいる人
・手間ひまかけた店舗の内装や設備を、次のオーナーに適正価格で買い取ってほしい人
・造作譲渡の相場や価格の決まり方、減価償却の考え方を知りたい人
・売却時の消費税の扱いや、造作買取請求権などの法的な知識を正しく理解したい人

目次

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任意

造作譲渡の基本と居抜き物件との関係

「造作譲渡」とは、一言で表現すれば、店舗の内装や造作、厨房設備、空調機器、什器などの所有権を、次の借主となる新テナントへ有償または無償で譲り渡す契約のことを意味します。店舗ビジネスにおいて、退去コストを極限まで抑えるためのキーワードとして頻繁に登場するのが造作譲渡です。

一般的に、賃貸店舗を退去する際には室内をすべて解体撤去し、コンクリートが剥き出しの状態に戻すスケルトン戻しの原状回復が義務付けられています。しかし、造作譲渡を行えばその解体工事を行う必要がなくなります。この造作譲渡の対象となる内装や設備が残った状態の物件を居抜き物件と呼び、居抜き取引における実務の中核をなす仕組みこそが造作譲渡契約です。

退去者にとっては数百万単位の解体費用を浮かせることができ、入居者にとっては初期投資を抑えてスピード開業できるため、現在の店舗不動産市場において非常にポピュラーな仕組みとなっています。

造作譲渡が意味する内容と契約の仕組み

造作譲渡とは、主に現在の店舗を退去する前借主と、新しく入居する新借主の二者間で結ばれる造作譲渡契約という物品売買契約の一種です。造作譲渡が意味する内容をより正確に理解するために、その契約の枠組みについて具体的に見ていきましょう。

造作譲渡は店舗の空間自体を貸し借りする賃貸借契約とは全くの別物です。物件自体の所有権や賃貸権をコントロールしているのは不動産オーナーである貸主です。そのため、前借主と新借主の間でどれだけ造作譲渡の合意ができていたとしても、オーナーが新借主との間で新しい賃貸借契約を結んでくれなければ、あるいは造作をそのまま残して引き渡すことを許可してくれなければ、この契約は成立しません。

実務においては、オーナーからの新しい賃貸借契約の締結および造作設置の承諾を前提とした、停止条件付きの契約として進められるのが一般的な仕組みとなっています。

「造作買取請求権」と造作譲渡の違い

造作譲渡と非常によく混同される法律用語に、「造作買取請求権」というものがあります。造作買取請求権とは、民法および借地借家法第三十三条に定められた借主側の法的な権利であり、貸主の同意を得て取り付けた内装や設備がある場合、賃貸借契約の終了時にオーナーに対してそれを時価で買い取るよう請求できるという権利です。

一見すると、退去時にオーナーにお金を支払ってもらえる素晴らしい権利のように思えますが、実際の不動産実務においてこの権利が適用されるケースはほとんどありません。なぜなら、一般的な店舗の賃貸借契約書には、ほぼ確実に特約として造作買取請求権は放棄するという条項があらかじめ盛り込まれているからです。

この放棄特約は法的に完全に有効であるため、借主がオーナーに対して強引に買い取りを迫ることは実質的に不可能です。したがって、オーナーに買い取りを求めるのではなく、次期借主を見つけて内装や設備を売却する造作譲渡を行うことこそが、実務上において唯一現実的かつ確実な選択肢となります。

【参考】e-gov「借地借家法第三十三条(造作買取請求権)」「借地借家法第三十三条(造作買取請求権)」

造作譲渡の対象に含まれる設備と含まれない設備

造作譲渡の対象となるものは、店舗内に存在する動産や内装設備全般ですが、店内のすべてのものが売れるわけではありません。対象に含まれるものと含まれないものを正しく区別しておく必要があります。

一般的に造作譲渡の対象に含まれる設備としては、冷凍冷蔵庫やシンク、ガスレンジ、製氷機などの厨房機器、エアコンや排気ダクトなどの空調設備、店内の照明器具、カウンターや個室を仕切る造作壁、テーブルや椅子といった什器や備品が挙げられます。

一方で、確実に対象から除外しなければならないのがリース品です。リース会社から借りて利用している機器は、所有権がリース会社にあるため、勝手に他人に売却することは重大な法律違反となります。また、店舗のロゴが入った看板や、前オーナーの完全な私物、他店へ移設する予定の機器なども対象外となります。トラブルを未然に防ぐためにも、事前に何を譲渡して何を持ち帰るのかのリストを精緻に作成することが不可欠です。

造作譲渡の相場と価格の決まり方

一般的な造作譲渡料の相場は、およそ100万円から250万円程度が最も多いボリュームゾーンであるとされています。一物一価の不動産市場と同様に、あらかじめ固定された定価というものは存在しません。価格は基本的に、その物件に対する需要と供給のバランスによって決定されます。

また、それと同時に、設置されている内装や設備の経過年数に伴う減価償却の状況や、その設備が次の買い手にとってどれだけの利用価値を持つかという総合的な査定基準が複雑に絡み合って最終的な価格設定が行われます。

どれほど高額な費用をかけて作ったこだわりの店舗であっても、買い手が見つからなければ最終的な価値はゼロになってしまうという厳しい側面も理解しておく必要があります。

業態別の造作譲渡料の相場目安

全体的な相場はおよそ100万円から250万円程度が最も多いボリュームゾーンであるとされていますが、これは店舗の業態や設備の充実度によって金額の目安が大きく変動します。

例えば、焼肉店やラーメン店、大型居酒屋といった重飲食と呼ばれる業態は、強力な排気ダクトやグリーストラップ、高価な業務用厨房機器など、初期投資に莫大な費用がかかる設備があらかじめ揃っているため、次の出店者からの需要が非常に高く、200万円から500万円以上の高値で取引されるケースも珍しくありません。

一方で、カフェやバー、美容室、アパレル店舗といった軽飲食や物販、サービス業は、比較的設備がシンプルであったり汎用性が高かったりするため、金額の目安は50万円から200万円程度に落ち着く傾向があります。

重飲食(焼肉・ラーメン・居酒屋など) 200万円 〜 500万円以上(ダクトや大型厨房設備が高価値)
軽飲食(カフェ・喫茶・バーなど) 50万円 〜 200万円(デザイン性や機器の汎用性による)
美容・サロン(美容室・エステなど) 100万円 〜 300万円(シャンプー台や専用設備の有無)
物販・オフィス(アパレル・事務所など) 0円(無償) 〜 100万円(内装の美麗さによる)

減価償却から考える設備の査定基準

造作譲渡における査定額のベースとなるのは、会計上の減価償却と、次の借主にとっての利用価値です。オープン時に1,000万円かけた内装だから、少なくとも500万円では売りたいと考えるのは当然のことですが、思い通りにいくわけではありません。

内装や厨房機器には国が定めた法定耐用年数があり、一般的に厨房機器は5年から8年、内装造作は10年から15年程度で会計上の価値はほぼゼロになります。そのため、開業から年数が経っている店舗は、どれほど綺麗に使っていても物理的な査定額は大幅に下がります。

ただし、法定耐用年数を過ぎていても、メンテナンスが行き届いていてそのまま問題なく営業に使える状態であれば、次の出店者にとっては高い利用価値があるため、相場以上の査定額で買い手がつくこともあります。購入価格ではなく、現在の稼働状態と需要が価格を左右するのです。

【造作譲渡の相場に影響を与える要素】
<プラス査定になりやすい要素>

・開業から3年以内の築浅物件である
・焼肉やラーメンなどダクト設備が充実している
・人気エリア、駅近など立地条件が良い
・厨房機器の動作が良好で清掃が行き届いている

<マイナス査定になりやすい要素>

・開業から7年以上経過し、老朽化が進んでいる
・特殊すぎるデザインで他業態への転用が難しい
・リース品が多く、買い手が別途契約を引き継ぐ必要がある
・排気や排水の能力が不足しており、修繕が必要


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退去側と入居側が知るべき造作譲渡のメリット

造作譲渡のメリットは、店舗を退去する前借主と、新しく出店する新借主の双方にとって、極めて大きなコスト削減効果と時間的恩恵が存在する点です。双方の利害が完全に一致する取引であるため、仕組みを正しく活用すれば、これ以上ない利益となります。

店舗を退去する前借主が受けられる恩恵

店舗を閉鎖または移転する前借主にとっての最大の恩恵は、数百万から一千万円近くにものぼる原状回復費用を完全に免除される可能性が高まるという点です。通常であれば退去時にすべての内装を解体して空っぽにしなければなりませんが、造作譲渡が成立すればそのままの状態で引き渡せるため、解体コストが一切かかりません。

さらに、新借主から造作譲渡料という形で売却益を獲得することができるため、高額な退去費用を支払うどころか、逆にまとまった手元資金を残すことができます。この売却益を次の事業への投資や、閉店に伴う諸費用の支払いに充てられるのは、退去側の経営者にとって非常に大きな恩恵です。

新しく出店する新借主にとっての魅力

一方で、新しく店舗を構える新借主にとっても、造作譲渡を利用した居抜き開業は魅力に溢れています。一番の魅力は初期費用の大幅な削減です。ゼロから内装デザインを設計し、壁を立て、厨房機器を新品で買い揃えるスケルトンからの開業に比べ、居抜き物件であれば数分の1の投資額で同様の店舗を手に入れることができます。

また、すでにインフラが整っているため、工事にかかる期間を劇的に短縮でき、契約からオープンまでスピーディーな開業が可能になります。工事期間中であっても発生してしまういわゆる「空家賃」の負担を最小限に抑えられるのも、新借主にとって大きな金銭的メリットです。

失敗しないための造作譲渡のデメリットと注意点

多くのメリットがある造作譲渡ですが、当然ながらデメリットや特有のリスク、注意点も存在します。これらを知らずに手続きを進めてしまうと、大きなトラブルに発展したり、最悪の場合は閉店スケジュールがすべて崩壊してしまったりすることもあります。退去側と入居側がそれぞれ抱えるリスクをあらかじめ頭に叩き込んでおきましょう。

店舗を退去する側が抱えるリスク

退去する側が最も恐れるべきリスクは、買い手がつかないまま退去日が来てしまうという事態です。造作譲渡を希望して買い手を募集していても、立地や業態、売り手の希望金額とのミスマッチにより、長期間買い手が見つからないことがあります。

物件の解約予告期間の満了日が迫っても新借主が決まらない場合、賃貸借契約書の原則通り、自費で高額なスケルトン戻し工事を大急ぎで行わなければならなくなります。また、買い手を探している期間中も当然ながら毎月の家賃負担が発生し続けるため、ズルズルと決まらない状態が続くと、手元の資金がみるみるうちに減少していくというリスクを伴います。

新しく出店する側が気をつけるべきポイント

新しく出店する側のデメリットとしては、設備の老朽化や隠れた故障のリスクが挙げられます。引き渡された時点では動いていた冷蔵庫やエアコンが、いざオープンした直後に突然故障し、想定外の多額な修繕費用が急に発生するというトラブルは後を絶ちません。

また、前オーナーの内装レイアウトをそのまま引き継ぐため、自分の理想とする動線やコンセプトと完全に一致させるのは難しく、多少の妥協が必要になる場合もあります。引き渡し後に後悔しないためには、契約時に契約不適合責任の範囲を明確にし、どの設備がどれくらい劣化しているかを事前に徹底して目視および動作確認することが不可欠です。

造作譲渡をスムーズに進めるための5つのステップ

造作譲渡を成功させるには、正しい手続きの順序を守ることが極めて重要です。手順を誤ると、オーナーの逆鱗に触れて居抜き売却そのものが禁止されてしまうこともあります。トラブルを未然に防ぎ、スムーズに引き渡しを完了させるための5つのステップを解説します。

1.解約届の提出(解約予告)前に専門業者へ相談する

造作譲渡を成功させる上で最も重要な第一歩は、オーナーへ解約届(解約予告)を提出する前に、居抜き専門の仲介業者へ売却の相談を行うことです。いきなり解約届を提出してしまうと、契約書の原則通り「スケルトン戻しでの原状回復」を求められ、造作譲渡の道が絶たれてしまうリスクがあります。

まずはプロの専門業者に相談し、水面下で買い手(次のテナント)の候補を見つける準備を進めることが、最も確実で安全なアプローチとなります。

2.譲渡する造作物のリスト作成と適正な価格設定

オーナーからの承諾が得られたら、次に譲渡する造作物のリスト作成を行います。店舗内にある厨房機器の型番や購入年、内装の構成などをスプレッドシート等に細かく洗い出し、資産目録を作ります。

このリストを基に、周辺の需要や設備の減価償却状況を考慮して、適正な価格設定を行います。ここで欲張って相場よりも高すぎる金額を設定してしまうと、買い手探しが難航し、結果的に退去期限が迫って大損することになりかねないため、プロの意見を参考にしながら現実的なラインを見極めることが大切です。

3.新しい借主となる買い手を探す

リストと価格が決まったら、いよいよ新しい借主となる買い手探しをスタートします。自力でSNSや知人のツテを頼って探すことも不可能ではありませんが、広くスピーディーに買い手を見つけるには、居抜き物件専門の仲介業者や店舗売却マッチングプラットフォームを利用するのが最も賢明な選択です。

専門業者は、出店を希望して物件情報を待っている膨大な顧客リストを抱えているため、一般に公開する前段階の水面下でスピード成約に至るケースも非常に多く、営業秘密を守りながら売却を進めたい場合にも適しています。

4.オーナーの承諾取得・条件交渉と造作譲渡契約を結ぶ

購入希望者が現れ、内見を経て前向きな意思表示が得られたら、ここで「このような優良な次のテナントがいます」という具体的な条件とセットで、オーナー(貸主)へ居抜き退去および造作譲渡の承諾を打診します。次の入居者が決まっている状態であれば、オーナー側も家賃収入が途切れないため、スムーズに許可を得やすくなります。

オーナーからの承諾が得られたら、譲渡料の最終金額や引き渡しの期日など詳細な条件交渉を行い、前借主と新借主の間で造作譲渡契約書を正式に締結します。この契約書には、万が一引き渡し後に設備が故障していた場合の免責事項などを必ず明記し、後々のトラブルを防ぎます。

5.物件の引き渡しと解約手続きを行う

最後のステップは、物件の引き渡しと解約手続きです。新借主から造作譲渡料の決済が行われたことを確認した後、実際の店舗で機器の最終動作確認を行い、鍵の引き渡しを行います。

これと完全に連動する形で、前借主の賃貸借契約の解約手続きと、新借主の新たな賃貸借契約の締結がオーナーとの間で同時に執り行われます。これらすべての手続きが滞りなく完了して初めて、造作譲渡の一連の流れが完結します。


造作譲渡における税金の扱い

造作譲渡によって手元にまとまった資金が入ってきた場合、気になるのが税務処理です。店舗を閉めるのだから税金は関係ないと思い込んでいると、後から思わぬ申告漏れや税金を指摘されるリスクがあります。消費税の扱いはもちろんのこと、売却益が出た場合の所得税・法人税への影響や確定申告の仕組みまでを正しく把握しておきましょう。

造作譲渡料に消費税はかかるのか

造作譲渡によって受け取る譲渡料は、税法上、事業用資産の譲渡に該当します。そのため、原則として造作譲渡料には消費税が課税されます。つまり、店舗を売却する側の経営者は、買い手に対して譲渡料に消費税を上乗せして請求し、それを預かる必要があります。

ただし、売却する側の事業者が、二年前の課税売上高が1,000万円以下などの理由で免税事業者である場合は、消費税の納税義務自体が免除されているため、預かった消費税を国に納める必要はありません。

また、忘れてはならないのが所得税・法人税への影響です。受け取った造作譲渡料から譲渡にかかった経費(手数料など)や未償却残高を差し引いて売却益(利益)が出た場合、法人の場合は法人の利益として「法人税」の課税対象となり、個人事業主の場合は譲渡所得または事業所得として「所得税」の課税対象となります。そのため、申告漏れとならないよう、しっかりと確定申告を行う義務があることを留意しておきましょう。

造作譲渡でよく発生するトラブルと防ぐための対策

造作譲渡は個人間や不動産知識の少ない者同士での取引も多いため、実はトラブルが非常に発生しやすい領域でもあります。実務で頻出する具体的なトラブル事例と、それを未然に防ぐための強力な回避策をご紹介します。

引き渡し後の設備故障をめぐる責任問題

最も頻出するトラブルが、引き渡し直後に厨房機器やエアコンが壊れたというケースです。買い手側は壊れたものを買わされたと主張し、売り手側は引き渡すまでは動いていたと主張して泥沼の論争に発展します。

このトラブルを防ぐ確実な対策は、造作譲渡契約書の中に契約不適合責任の免責条項を必ず盛り込んでおくことです。具体的には、売り手は譲渡対象物について引き渡し後の動作不良や故障に関して一切の責任を負わないものとし、買い手はこれを了承するという一文を明記します。また、契約前に必ず双方立ち会いのもとで、すべての機器の電源を入れて正常に稼働するかどうかの事前の動作確認を徹底することが最善の対策です。

リース品の扱いや所有権に関するトラブル

次に多いのが、リース契約が残っている厨房機器を、売り手が誤って自分のものとして造作譲渡リストに含めてしまい、そのまま新借主に引き渡してしまうトラブルです。リース品は所有権がリース会社にあるため、これを無断で第三者に譲渡することは重大な契約違反であり、法的なリスクを伴います。

このトラブルを回避するための対策は、契約前に店舗内の全機器の契約書をチェックし、リース品がないかを完全に洗い出すことです。もしリース品を次のオーナーに引き継ぎたい場合は、必ず事前にリース会社へ連絡し、リースの契約名義を新借主へ変更する手続きを正式に行うか、あるいは退去側が一括で残債を清算して所有権を完全に買い取ってから譲渡する必要があります。

造作譲渡を成功させて高く売却するためのコツ

せっかく手間をかけて造作譲渡を行うのであれば、少しでも有利な条件で、1円でも高く成約させたいと思うのが経営者の本音でしょう。成約率を劇的に高め、自店の資産価値を最大限に評価してもらうための実践的な成功のコツを3つ解説します。

退去日までのスケジュールに十分な余裕を持つ

高く売るための最大のコツは、退去日までのスケジュールに十分な余裕を持つことです。退去日が迫って残り1ヶ月などになってしまうと、買い手側や仲介業者から早く処分したいのだろうと足元を見られ、大幅な値引き交渉を飲まざるを得なくなります。

理想的には、実際に閉店する半年から4ヶ月前には水面下で専門業者に相談し、余裕のある期間で買い手探しをスタートさせるべきです。スケジュールに余裕があれば、複数の購入希望者を比較しながら、最も高値で、かつ良い条件を提示してくれる相手をじっくりと選ぶことができます。

設備の清掃とメンテナンスで資産価値を高める

物件の内見の際に、買い手が受ける第一印象は査定額や成約率に直結します。厨房が油汚れで真っ黒になっていたり、客席にゴミが散乱していたりする店舗は、それだけで大切に扱われていなかったという不信感を与え、大幅なマイナス査定につながります。

内見前には、特に油汚れの激しいレンジフードやグリーストラップ、冷蔵庫の内部などを徹底的に清掃およびメンテナンスし、清潔感のある状態にしておきましょう。見た目の印象を良くするだけで、買い手の購買意欲は跳ね上がり、希望価格の満額で成約する可能性がグッと高まります。

居抜き売却に強い専門業者を活用する

造作譲渡には、不動産賃貸借の知識だけでなく、建築解体、厨房機器の正確な査定、さらにはオーナーとの高度なネゴシエーションといった多角的な専門知識が必要不可欠です。これらを一般の不動産会社や自力で行うのは極めてハードルが高く、トラブルの元になります。

そのため、居抜き物件の売買や店舗売却に特化した専門業者をパートナーに選ぶことが、最も安全で確実な成功への近道です。専門業者であれば、蓄積されたデータに基づいた適正な査定を受けられるだけでなく、オーナー交渉の代行から契約書の作成までトータルで手厚いサポートを提供してくれます。

当サイトでは、店舗の売却を検討中の経営者様向けに、居抜き売却のプロによる無料査定サービスを行っております。「まずは自店舗の造作がいくらで売れそうか、具体的な相場を知りたい」という方は、ぜひお気軽に弊社の「店舗売却査定フォーム」からお問い合わせください。経験豊富なプロが、貴店のスムーズな売却を全力でサポートいたします。

造作譲渡は信頼できる居抜き専門業者と、余裕あるスケジュールで成功させよう

造作譲渡は、高額な原状回復費用に頭を悩ませる退去側の経営者にとって、退去コストを劇的に削減し、手元に資金を残すための非常に強力な手段です。それと同時に、新規出店者にとっても初期投資を抑えてスピード開業できるという、双方にとって優れた取引仕組みと言えます。

成功の鍵は、物件オーナーへの早期の事前相談と、信頼できる居抜き専門業者をパートナーに選び、余裕を持ったスケジュールで進めることです。本記事で紹介した5つのステップと注意点を参考に、リスクのない満足のいく店舗売却を実現させてください。

よくある質問

Q:造作譲渡料の一般的な相場はいくらくらいですか?
A:業態や店舗の規模、設備の経過年数によって異なりますが、一般的なボリュームゾーンは100万円から250万円程度です。排気ダクトや高価な厨房機器が揃っている焼肉店やラーメン店などの重飲食業態では、300万円から500万円以上の高値で取引されることも珍しくありません。

Q:造作譲渡料に税金(消費税・所得税)はかかりますか?
A:はい、原則としてかかります。造作譲渡は「事業用資産の譲渡」とみなされるため、消費税の課税対象となります(免税事業者を除く)。さらに、譲渡によって利益(売却益)が生じた場合は、法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税の対象となるため、確定申告が必須となります。

Q:物件のオーナー(貸主)が造作譲渡に反対した場合はどうすればいいですか?
A:オーナーが反対した場合、無理に造作譲渡を進めることはできません。賃貸借契約書の原則通り、自費でスケルトン状態に戻して退去する必要があります。ただし、反対する理由を丁寧にヒアリングし、専門業者を交えて「次のテナントも信頼できる人物であること」「原状回復の責任区分を明確にすること」を説明すれば、条件付きで承諾してもらえるケースもあります。

Q:リース期間が残っている厨房機器もそのまま譲渡できますか?
A:いいえ、リース期間中の機器の所有権はリース会社にあるため、無断で勝手に譲渡することはできません。譲渡したい場合は、事前にリース会社の承諾を得て「リース契約の新借主への名義変更(承継手続き)」を行うか、売り手が一括で残債を支払って所有権を取得した後に譲渡する必要があります。

Q:造作譲渡契約書は必ず作成しなければなりませんか?
A:はい、絶対に作成すべきです。口約束や簡易的なメモだけで取引を行うと、引き渡し後の「設備が動かない」「リース品が混ざっていた」といった問題が発生した際に、責任の所在が曖昧になり大きな法的トラブルに発展します。瑕疵担保責任(契約不適合責任)の免責特約などを盛り込んだ正式な造作譲渡契約書を必ず取り交わしてください。

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この記事を監修した人

三宅 宏通

株式会社ウィット 代表取締役

飲食業界に特化したM&Aサービスを主業とし、2007年株式会社ウィットを設立。

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