飲食店の居抜き売却、仲介サービスはどう選ぶ?サービスの違いや特徴、費用相場を解説
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店舗の売却相談、査定、譲渡先の募集、そして契約・引き渡しまで一貫して支援してくれるのが、「居抜き売却の仲介サービス」です。
「閉店することを知人に知られたくない」「できるだけ高く売りたい」など、オーナー様の悩みは尽きません。この記事では、安心して任せられる仲介業者の選び方や、業者タイプごとの特徴、気になる費用相場を徹底解説します。
目次
失敗しない仲介サービスの選び方|チェックすべき3つのポイント
飲食店を扱う居抜き売却の仲介業者は数多く存在するため、どこに依頼すべきか迷ってしまう方も多いでしょう。そこで、まずはサービス利用を検討する際にチェックすべき、3つの重要なポイントを紹介します。
■買い手に向けてどう物件を紹介しているか(秘密保持への配慮)
居抜き売却の仲介を行う企業の多くは、「売りたい方」と「買いたい方」それぞれに向けたサイトを運営しています。売却は買い手が見つからなければ成立しないため、買い手になったつもりで募集ページをチェックしてみましょう。「物件の魅力が伝わる写真や文章か」という視点で見るのがおすすめです。
また、「秘密保持」への配慮も重要です。従業員や取引先に閉店を知られないよう、店名や詳細な住所を伏せて(ノンネームで)募集活動ができるかどうかも、必ず確認しておきましょう。
■売り手と買い手をどうマッチングしているか
売り手と買い手をどうマッチングするかも、結果に大きく影響します。Webサイトでの集客に力を入れているのか、独自の営業ネットワークを持っているのかなど、そのサービスの強みを確認しましょう。
さらに、自分の店舗は「Webを駆使する若手オーナー」に好まれる物件なのか、「職人気質のベテランオーナー」に好まれる物件なのかといった相性を考えてみると、利用すべきサービスが見えてきます。
■料金体系は明瞭か
料金体系は業者によって異なります。手数料を設定している場合もあれば、手数料無料や完全成功報酬型で初期費用がかからないケースもあります。
手数料を支払うときは、「何に対しての費用なのか(広告費込みなのか、別途必要なのか)」を確認し、納得してから契約するようにしましょう。
居抜き売却の仲介サービス、3つの種類と特徴を比較
飲食店の居抜き売却は、営業中の段階で秘密裏に進めていくことが多いため、飲食店経営と不動産取引の両方を熟知している必要があります。また、売却後に引き継いだ設備で不具合が生じるなどのトラブルも起こりうるため、居抜き売却の経験が浅い不動産会社には敬遠される可能性もあります。
居抜き売却に精通し、実績豊富な仲介サービスを利用することが、トラブルを防ぎ、納得のいく結果につなげるための近道です。ここでは、主な3つの業者タイプについて特徴を解説します。
■店舗専門の居抜き仲介サービス
飲食店の売買や居抜き物件の賃貸支援を専門に行っている会社です。スタッフが厨房機器や内装の価値に精通している「プロ集団」といえます。自社で飲食専門の物件検索サイトを運営していることが多く、飲食店を探している「意欲の高い買い手」のリストを膨大に抱えています。
飲食店の設備や造作(内装)の価値を正しく評価してくれるため、希望価格での売却が狙いやすく、成約までのスピードが非常に早いのが特徴です。
一方で、都市部を中心に対応しているケースが多く、地方などの対応エリア外では依頼できない場合もあります。また、専門性が高い分、仲介手数料が他のサービスより高めに設定されていることもあるため、事前に確認しておきましょう。
■大手不動産会社の仲介サービス
全国にネットワークを持つ、誰もが名前を知っているような総合不動産会社です。主にマンションやビルの売買・仲介をメインとしています。圧倒的な情報量と、資金力のある法人顧客とのつながりが強みです。また、看板の信頼性が高く、初めての取引でも安心感があります。
信用力が非常に高いため、多店舗展開を狙う法人テナントなど、質の高い買い手候補へのアプローチに優れています。
しかし、店舗物件に特化しているわけではないため、担当者によっては造作の価値を低く見積もったり、居住用物件に比べて売却活動の優先度が低くなったりするリスクがあります。
■地域密着型の不動産会社
その街で長年営業している、地元に根付いた不動産会社です。商店街の店主や地元の地主との「顔の見える関係」を大切にしています。特定のエリアにおける「物件の歴史」や「人脈」を把握しているため、Webには載らないような、地元の口コミベースの情報を握っていることもあります。
エリア特性を熟知しており、近隣で出店を考えている個人オーナーなど、独自のネットワークを通じた紹介が期待できることがメリットです。
ただし、飲食店の居抜き売却に関する専門的な実績が少ない場合があり、リース品の扱いや設備の引き継ぎ、複雑な契約条件の整理不足などが原因で、後々のトラブルに発展してしまうケースも見受けられます。
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仲介サービスに依頼する場合の主な費用と相場
「売却=利益を得ること」ではありますが、見落としがちなのが「売却活動自体にも費用がかかる」という点です。仲介サービスに依頼し、飲食店を居抜き売却した場合は、主に以下のような費用がかかります。
■家主に支払う承諾料
居抜き売却を進める際は、事前に大家さん(家主)の承諾が必須です。その際、慣行として「譲渡承諾料(承諾を得るための費用)」が発生する場合があります。
費用は両者の話し合いで決めるものですが、譲渡代金の10%、もしくは家賃の2、3カ月分が目安と考えられています。
■売り手負担となる仲介手数料
居抜き売却における仲介手数料は、「売買金額の10%」程度が目安です。
ただし、売買金額が少額の場合でも人件費や広告費がかかるため、「最低手数料(30万円~50万円など)」が設定されているケースも一般的です。
売り手がこの費用を負担することで、買い手の手数料を0円や低額に設定でき、売買を成立しやすくする狙いがあります。この手数料はすべてが業者の利益になるわけではなく、Web掲載やチラシ作成といった販促活動を強化するためのコストにも充てられています。
■閉店にかかる費用も必要
その他、閉店するための実費も発生します。たとえば、保証金の返還から差し引かれる償却費や、リース品の残債の整理などです。不用品やゴミが出る場合、産業廃棄物の処理費用もかかるので注意しましょう。
【参考】相談から売却完了までの基本的な流れ
スムーズに売却を進めるために、全体の大まかな流れを把握しておきましょう。
相談・査定依頼:仲介業者に店舗の状態を確認してもらい、売却価格の目安を出してもらいます。
媒介契約の締結:売却活動を依頼する契約を結びます。
募集開始:Webサイトや独自ルートで買い手を募集します(非公開募集も可能)。
内覧・条件交渉:購入希望者が店舗を見学し、価格や引き渡し日を調整します。
家主の承諾・契約:家主の了承を得た上で、賃貸借契約と造作譲渡契約を結びます。
引き渡し:店舗の鍵や備品を引き渡し、売却完了です。
仲介サービスに依頼する前に、知っておきたい注意点
注意したいのは、仲介業者に依頼をしても、必ずすぐに売れるとは限らない点です。
例えば、「半年間売り出しているのに売れない」といったケースでは、露出不足、相場と売出価格のズレ、買取希望者とのコミュニケーション不足、内装の特殊性などが原因として考えられます。
売却期間が長引けば、その分、空家賃の負担が続き、損失が膨らんでしまいます。損失を最小限に抑えるためには、具体的な売却戦略を示してくれる業者を選ぶことが重要です。
複数の業者で「相見積もり」を取りましょう
仲介業者を選ぶときには、はじめから1社に絞り込むのは避けましょう。複数の業者に査定を依頼し、「相見積もり」を取ることから始めることをおすすめします。
その際、査定額の高さだけでなく、問い合わせへの対応の速さや親身さ、担当者の人柄、秘密保持への配慮があるかどうかもチェックしてください。信頼できるパートナーを見つけることが、満足のいく売却への第一歩です。