売却中の飲食店が売れない。居抜き売却で値下げに適したタイミングと幅の決め方
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店舗を売却に出しても売れない時、多くの売主が値下げを検討します。「できるだけ高く売りたい」と思いつつも、売却の機会を逃さないために値下げの判断をするのは珍しいことではありません。そこで本記事では、適切な値下げのタイミングと値下げ幅の決め方をご紹介します。
売り出しから3カ月が経過したら値下げを検討する
飲食店物件の売主は、「売れるだろうか」と不安に思うことがあるはずです。売るためのひとつの手段は値下げですが、やみくもに下げる必要はありません。買い手に「訳アリ物件」のような印象を与え、かえって敬遠されてしまう可能性があるためです。一方で「売却機会を逃さない」「大幅な値引きをせずに成約させる」ことは重要。そこで知っておきたいのが「売り出しから3カ月が経過したけれど買い手が見つからない場合、値下げを検討すべき」ということです。
3カ月の間、反応がない場合、相場から大きくずれてしまっている可能性があります。また、売却をする際に計画を立て、「〇月までに売れなければ値下げする」「〇月までに売却する」など自分で期限を設けて判断をしていく方法もあります。特に売り出しから1年以上経ってしまうと「売れ残り物件」「なんらかの問題がある物件」といったネガティブな印象を持たれてしまうこともあるため、そうなる前に判断することが大事です。
値下げ幅を考える2つのポイント
値下げを検討する場合は、次の2つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
■近隣の相場観を知る
価格は安く設定すればよいのではなく、適正価格であることが大切です。つまり、物件が持つ価値を正確に反映し、かつ、需要と供給のバランスを考慮できていることがポイントとなります。適正価格まで値下げするために、近隣の物件の相場を調べてください。築年数や造作などの条件に左右されるものの、似たような立地と広さの物件の賃料や保証金を参考にするとよいです。また、広さが違う物件は、坪数で考えれば比較が可能です。地域の相場に合わせて、値下げを検討してみましょう。
■造作譲渡料を値下げする
厨房機器や什器といった設備を含む「造作譲渡料」を決める明確な基準はないため、売主の考え方で決めることが多くあります。具体的には造作の耐用年数や性能、買い手がその店舗で営業するときに得られるであろう価値などを評価して決めているはずです。開業からあまり年数が経たずに撤退する場合などは、少しでも高く売りたいがために造作譲渡料を高めに設定していることもあるでしょう。しかし、造作の価値は個人ではなかなか判断できません。専門の知識と経験をもった居抜き業者に相談し、適正価格にすることをおすすめします。
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値下げ額は5~10%が妥当
では、適正価格帯を押さえた上で値下げ幅はどの程度にすれば良いのでしょうか。一般的には5~10%といわれます。値下げ額が小さすぎるとインパクトがありません。また、例えば3%ずつ下げていき、数カ月後に10%分下げるという方法は、コロコロと価格が変わることになり、信頼されにくくなってしまいます。
価格を設定する際には、テクニックをつかうのもおすすめです。例えば400万円を398万円にすると、「300万円代で手に入る」という印象を与えることができます。また、ポータルサイトで物件を検索する際には、「○○○万円以下」と設定することが多いはず。400万円以下なのか300万円以下なのか、この違いで物件を目にする人の数は大きく変わるはずです。
値下げ以外の見直しも重要
売れない原因は価格だと考えがちですが、そうとは限りません。例えば問い合わせ数や内見数はそれなりにあるのに成約にならない場合、コミュニケーションや交渉の方法に問題があるのかもしれません。買取希望者の質問にしっかりと答えらえているか、物件内の清掃はできているか、衛生面でマイナスな印象を与えていないかといった点も考えていく必要があります。
価格の値下げは必ず必要なことではありません。しかし、売る決断をしたからには、判断を先延ばしにしないことが大切です。自身での調査と専業者への相談により、よい結果につなげていきましょう。