ダクトありの飲食店店舗を高く売却するコツは?チェックポイントを解説
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ダクトは飲食店にとって必須の設備です。そのためダクトがある物件の居抜き売却は有利になる傾向があります。とはいえ、どんな状態のダクトでも高価査定されるわけではありません。そこで、高価買取を目指すためのポイントをまとめました。
ダクトがある居抜き店舗には高額査定の可能性がある
厨房から出るにおいや煙を排出したり、店舗全体の快適さを守ったり、さらには火災によるダメージを少なくしたりする役割を持つダクトは、飲食店において業態を問わず、とても重要な設備のひとつです。
中でも焼き鳥や焼肉、中華料理など、油やにおい、煙が多く出る重飲食の場合、ダクトは特に重要。ダクトに不備があると、お客さまが不快な思いをしてしまうだけでなく、そもそも大家からの営業許可が下りないことも考えられます。しかし、ダクトの設置工事をするとなると、50万〜300万円もかかり大きな痛手に。そのためよい状態のダクトがある物件は高額売却につながる可能性があるのです。
飲食店にある「ダクト」の種類と売却のためのチェックポイント
飲食店物件に設置されているダクトは主に4種類あります。
■空調ダクト
エアコンなどの空調機からの温かい又は冷たい空気を、建物内に流すのが空調ダクトです。エアコンなどの空調機と一緒に設置されています。飲食店だけでなく、さまざまなビルやマンションでも、建物内の温度や湿度をコントロールするために必要な設備です。冷暖房効果が落ちている、異音がする、電力消費が増加しているといった症状が出ている場合、空調ダクトにトラブルが起きている可能性があります。
■換気ダクト
店内の空気を空調機へ引き込む役割があります。飲食店では店内の煙やにおいを外に排出してくれますが、長期間使用すると、換気ダクト内部には油やホコリが蓄積されるので注意。そのままの状態にしておくと、換気力が低下したり、外部の排気口のまわりが汚れたりします。
■排気ダクト
換気ダクトと同様に店内の空気を屋外に排出します。煙やにおいが発生しやすい飲食店では、重要な役割を果たしています。排気ダクトの内部には、グリスフィルターと呼ばれるフィルターが設置されており、これが油脂をとりのぞきます。そのためグリスフィルターの定期的な清掃が大切です。怠った場合、残った油脂が原因の火災が起きることも。また、排気ファンの故障もよくあるトラブルです。排気ダクトの設置場所や排出先は、法律で規定されているため、適切に設置してあることも評価のポイントになります。
■排煙ダクト
火災時には熱や煙を効率的に排出し、窒素や有害なガスによる中毒を防ぐ大事な設備で、火災警報器やスプリンクラー、シャッターなどと連動して働きます。非常時にための安全装置であるため、多くの人々が集まる飲食店では排煙ダクトの適切な設置が法律によって義務付けられています。
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ダクトの状態で相性のよい業態が変わる
工事費用を抑えるなどの理由で、ダクトの長さを最小限にしている物件もあるでしょう。この場合、立地によっては店から出る煙や臭いが原因となり、近隣からクレームが発生する可能性があります。そのため、重飲食は避け、カフェのように煙や臭いも少ない飲食店への居抜き物件として売り出すことを考えてもよいでしょう。一方、屋上出しといって、建物の屋上までダクトを伸ばし排気をする店舗も。この場合、近隣に迷惑をかける心配が少なく、重飲食でも入れる物件として人気になる可能性があります。
また、焼肉店のようにテーブルごとにダクトが取り付けてある場合、取り外しがしやすいような構造がシンプルなタイプは評価されやすい傾向に。店舗でもメンテナンスする際、多くの時間を費やさずに済むためです。
このように、ダクトの設置状況は査定に大きく関わります。また、店舗でできる日々のメンテナンスを大切にし、よい状態を保っていることも評価される部分です。しっかりとポイントを押さえ、満足のいく売却につなげていきましょう。