飲食業界で売れる店舗は“使い勝手”で決まる!業態を問わずニーズが高い内装の条件は?
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店舗が売れるかどうかは、「次に使う人にとっての使いやすさ」で決まります。なぜなら、特定の業態にしか向かないレイアウトや動線の場合、買い手を限定してしまうことがあるためです。そこで、使い勝手の悪い物件の具体例や売却時のフォロー点を解説します。
需要がなければ当然売れない
「営業年数が浅く、厨房機器も新しいから、査定は高いはず」「内装にこだわり、工事費用を投じたため、査定価格に反映されるだろう」と考えている方は少なくないでしょう。しかし、店舗の新しさや内装のこだわりは、必ずしも評価されるとは限りません。それでは、何が査定価格を左右するのでしょうか。
それは「需要があるかどうか」です。つまり、多くの買い手希望者が現れるような物件であれば査定は高くなります。反対に買い手がつかないような物件であれば、査定は下がってしまいます。
「汎用性ある店舗」は需要がある
需要がある店舗の条件の一つは「立地の良さ」です。駅チカ物件、人流の多い通りに面した物件などは「ここで開業したい」と思わせることができるので需要につながります。また、「規模」も大切な条件。30坪以上あるような広い店舗は、「切り盛りできるだろうか」「開業資金が足りない」「維持費が高い」といった不安を抱かせてしまうのに対し、10~20坪程度の小規模店舗であれば買い手がつきやすくなります。
そしてもう一つ重要なのが「汎用性がある内装」であることです。内装とは、建物の内部の装飾や仕上げ、さらに建物内に付随する設備を指し、床材、壁・天井のクロス、間仕切り、照明…給排水設備、ガス設備、空調設備、換気設備などすべてが内装に含まれます。これら内装が飲食店はもちろんのこと、異業種であっても使い勝手がよく、ニーズが期待できる店舗であれば、評価は高くなるでしょう。
飲食店を開業する時には、コンセプトが大事だといわれます。強いこだわりを持ち、内装をかっちりと作り込んでいくことと相反する内容ではありますが、「トレンドや顧客のニーズに合わせられるようにしていこう」といった視点でつくった内装は、売却という点では強みになります。
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使い勝手の悪い店舗を売却するには?
では、使い勝手が悪い店舗の売却は、どのように進めるのが良いのでしょうか。
■特定の業種に偏った内装をしている
一口に飲食店といっても、業態によって内装は大きく異なります。そのため、特定の業態に偏った店舗の場合、買い手の幅は狭くなってしまうでしょう。一方で、内装のマッチングが上手くいってこそ居抜き物件の価値は高まります。そのためにも、居抜き売買の実績が多く、買い手の情報を多く持つ業者に相談することが重要です。買い手の業種やニーズを充分に考慮し打診してくれるため、マッチングできる確率は高まります。
■席数が確保しづらい
使いやすい間取りであることも買い手にとってメリットになります。同じ坪数であれば席数を確保しやすい方が評価されるでしょう。狭い空間にテーブルや什器を詰め込んでおくと、内見時に圧迫感を与えてしまいます。今一度広さと設備のバランスを考えながらレイアウトをしてみたり、これまでにどのようにテーブルを配置してきたか、また、配置ができるのか、ここで長年営業してきたからこそ分かる情報を内見時に提示したりできると良いでしょう。
■日照条件が悪い
日当たりの良し悪しは、光熱費に影響を与えます。日照条件が悪ければ夏は冷房費がかかり、冬は暖房費が高くつく可能性があります。何らかの対策ができるのであれば、査定時にはその情報を共有してください。また、日照条件の悪さをカバーするには、テイクアウトやデリバリーに向いている店舗として売り出すこともひとつの手です。
■動線が悪い
使い勝手の悪さは、動線の悪さが原因かもしれません。まずは厨房から見直してみましょう。食材を倉庫から取り出し、料理を提供するまでの流れを考えたとき、動線が交差していませんか。また、スタッフとお客さまが快適に動けるレイアウトか考えてみましょう。「テーブルや什器の並びが悪く、お客さまを案内しづらい」「お客さまがトイレに行く時にスタッフの動線のぶつかる」。そういった場合にはシンプルなレイアウトになるよう心掛けましょう。
内見時までの一工夫、そして清潔感の維持は居抜き物件の売買を成功させるために大切なことです。自店の弱点にも目を向け、対策を講じてみましょう。