飲食店の資金繰り対策!日々の管理方法と苦しくなったときの対処方法は?
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店の資金である現金や預金の増減を管理することを「資金繰り」と言います。資金繰りがうまくできず、手元にある現金や預金が少なくなり、家賃や仕入れ代などが払えなくなると怒るのが「資金ショート」。飲食業は薄利多売の側面があるため、健全な経営を続けていくためには資金繰りを理解しておくことが欠かせません。日々必要な取り組みと資金ショートをした場合の対応方法をまとめました。
資金と利益は違う!
資金繰りを考える上で、はじめに確認しておきたいのが、資金と利益は別物ということです。つまり利益が出ていても、すぐに使える現金や預金が手元にあるとは限りません。飲食業は現金商売が多いため、資金繰りが比較的スムーズだと言われてきました。ですがキャッシュレス決済の利用が広がり、売上が現金化できるまでにタイムラグが生じるようになってきたため、以前と同じ感覚で資金繰りを考えるのは危険。今一度、資金と利益は一致しないことを認識する必要があります。
また、資金繰りはキャッシュフローとも意味合いが異なります。キャッシュフローはどのような理由でお金が入ってきて、どのような理由でお金が出ていったのか、過去の現金の流れを把握すること。改善や今後の成長に役立つものです。
日々の資金繰りで大切なことは?
飲食店では基本的に売上は毎日発生しますが、家賃や水道光熱費の支払いなどは月末に集中します。資金繰りを悪化させないための基盤となるのは、もしものときにすぐに支払いに充てられる現金と預金がどのくらいあるかを正確に把握することです。このとき役立つのは、現金の出し入れを記載していき、手元資金を確認できるようにする「資金繰り表」です。資金繰りを確実に管理していくには、月や週ごとではなく、日付ごとに取引内容、入金、出金、残高を記した「日繰り表」をつくるのがよいでしょう。同時に、月末までの売上を予測し、支払いが集中する時期までにどれくらい現金が確保できるかも考えます。売上予測をするには前年同月や前月の売上が役立ちますが、その数字を8掛けや7掛けし、保守的な計画を立てるのが堅実です。
キャッシュレス決済を導入している場合、以下の点を考えてみることをおすすめします。まず、入金までに時間がかかることがネックになっているようなら、決済会社の翌日入金サービスなどの活用を検討します。ただし、こうしたオプションサービスを使うと、都度の手数料などの経費がかかってしまうというマイナス面があります。現金・預金が十分な場合は、決済会社が定めた標準サイクルに戻す、もしくはオプションをやめるのもひとつの方法です。
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資金ショート前に即対策を!
資金繰りが悪いままでは、資金ショートへと状況はさらに悪化していきます。従業員に給与を支払うことができないなどの理由で資金調達が必要になった場合には、融資制度や助成金や補助金の活用を検討してみるのも手です。融資は、地方自治体と金融機関と信用保証協会の3つの機関が連携する「制度融資」や政府系金融機関である日本政策金融公庫が行う融資をチェックするのがよいでしょう。
助成金・補助金は後払い制であるため、今すぐに資金繰りが解決するわけではないももの、役立つことには間違いありません。厚生労働省の「キャリアアップ助成金」や経済産業省の「小規模事業者持続化補助金」などの要件にあてはまるかどうか、チェックしてみましょう。
「居抜き売却」も有効な手段
資金ショートに陥ってしまった場合は、店じまいをすることも考えなければなりません。そのとき役立つのは「居抜き売却」です。居抜き売却とは、店舗として使っていた物件を、内装や設備をそのままに売却することです。通常の撤退では必要な原状回復工事費用がかかりませんし、造作も売却するため追加利益を得られる可能性もあります。再スタートも視野に入れた、賢い店じまいができると言えるでしょう。売却する際は、個人で進めるのは非常に難しいため、居抜き物件を取り扱う不動産会社や専門の業者に相談することをおすすめします。
資金繰りが改善するように、常に努力していくことは欠かせませんが、早めに見極め、外部の力に頼ることも大切な判断です。また、どういった対策があるか選択肢を知っておくことは安心感となります。この機会に、資金繰りについて一度考えてみてはいかがでしょうか?