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飲食店の「居抜き譲渡」とは?店舗売却検討中の人が知っておくべき造作譲渡のポイント

2026-02-13 17:12:48.0 更新


画像素材:PIXTA

飲食店の閉店や移転を検討する際、「居抜き譲渡」という言葉は、費用を抑え手元に資金を残すための重要なキーワードになります。この記事では、居抜き譲渡の仕組みや造作譲渡との違い、具体的な売却の流れ、そして気になる相場について、初めての方にもわかりやすく解説します。

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そもそも飲食店の「居抜き譲渡」とは?

飲食店の「居抜き譲渡」とは、店舗の内装や厨房設備、家具などが残った状態で、次の借主に店舗を譲り渡すことです。通常、賃貸物件を退去する際は、借りた時の状態に戻す「原状回復」が基本ですが、居抜き譲渡ではその義務が免除されるケースが多く、退去コストを大幅に削減できる手法として注目されています。

居抜きとスケルトンの違い



店舗物件の状態は、大きく「居抜き」と「スケルトン」の2つに分けられます。スケルトンとは、内装や設備が一切なく、建物の躯体(コンクリートの打ちっぱなしなど)だけの状態を指します。

スケルトン戻し(原状回復)をして退去する場合、解体工事費用がかかる上に、せっかく作った内装を壊さなければなりません。

一方で居抜きは、内装や設備をそのまま次の入居者に引き継ぐ形です。退去する側にとっては、原状回復費用の削減だけでなく、設備を「資産」として売却できるメリットがあります。また、入居する側にとっても、初期投資を抑えて短期間で開業できるため、双方に利点がある取引形態といえます。

居抜き譲渡と造作譲渡の関係

「居抜き」とセットでよく使われる言葉に「造作譲渡(ぞうさくじょうと)」があります。

店舗の内装や設備、什器類が残っている物件そのものを「居抜き物件」と呼びますが、その物件の中に残された内装や設備(=造作)を、有償または無償で新しい借主に売り渡す契約のことを「造作譲渡」といいます。

つまり、居抜き状態で退去・入居するために行われる、設備等の売買手続きが造作譲渡であると理解しておくとスムーズです。似た業態の飲食店を開業したい経営者にとって、居抜き物件は非常に魅力的であるため、店舗の売却時にはこの造作譲渡に向けた交渉が活発に行われます。

造作譲渡の対象範囲とリスト作成

造作譲渡の対象となるもの・ならないもの

不動産取引において、造作は広い範囲を含みます。天井・壁などの内装、厨房設備、空調設備、排気設備、トイレ、看板、さらに通信機器や専門性の高い厨房器具などが一般的に対象になります。椅子やテーブル、レジ、スピーカーなどの音響設備などは取引ごとに異なることが多いようです。

一方で、対象にならないものもあります。まず、リース品はリース会社の所有物であるため、勝手に譲渡はできません。また、鍋やフライパンといった一般的な調理器具、皿やカップなどの食器も、個人の持ち物として扱われ、対象外になることが多いでしょう。これらは事前に整理しておく必要があります。

リース品の取り扱い

リース品はリース会社の所有物であるため、原則として譲渡はできないとお話ししました。しかし、絶対に引き継げないわけではありません。リース会社の判断によっては、契約を新借主に引き継ぐことも可能です。

ただし、契約内容の変更や引き継ぎの可否はあくまでリース会社が決めることです。そのため、リース会社に相談する前に勝手に条件を提示したり、契約書に「リース品も譲渡する」と記載したりしてはいけません。必ず事前にリース会社へ確認を入れましょう。

居抜き譲渡(店舗売却)の具体的な流れ

店舗をスムーズに売却するためには、正しい手順を踏むことが大切です。ここでは一般的な流れを4つのステップで解説します。


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1.解約予告と大家さんへの相談(※重要)

まず最初に行うべきは、店舗の賃貸借契約書の確認です。解約予告が何ヶ月前までに必要かを確認し、管理会社や大家さんに「閉店を考えており、居抜きで次の人に引き継ぎたい」と相談します。通常、賃貸契約には原状回復義務があるため、大家さんの承諾なしに勝手に居抜き募集はできません。

2.買取希望者の募集・内見

大家さんの承諾が得られたら、居抜き店舗の専門業者などを通じて、新しい借主(買取希望者)を募集します。興味を持った人が現れたら、実際に店舗を見てもらう内見を行います。この際、厨房機器の動作状況などを説明できるようにしておくと好印象です。

3.造作譲渡契約・賃貸借契約の締結

条件が合意に至れば契約です。ここでは、店舗物件そのものの「賃貸借契約(大家さんと新借主)」と、内装や設備の「造作譲渡契約(現借主と新借主)」の2つが動くことになります。

4.引き渡し

最後に、店舗の鍵や備品、取り扱い説明書などを引き渡します。造作譲渡金が支払われるタイミングも契約内容によりますが、引き渡しと同時、あるいは契約時と引き渡し時の分割などが一般的です。

いくらで売れる?居抜き・造作譲渡の相場

これから店舗を売る方にとって、一番気になるのは「いくらで売れるのか」という点ではないでしょうか。

一般的な飲食店(10坪〜20坪程度)の造作譲渡料の相場としては、100万円から300万円程度で取引されるケースが多く見られます。もちろん、これはあくまで目安であり、物件の状況によって大きく変動します。

高値がつくポイントとしては、「立地が良いこと」はもちろんですが、「設備が新しく綺麗であること」や「重飲食(ラーメン・焼肉など)が可能であること」が挙げられます。特に重飲食は排気設備や防水工事に多額の費用がかかるため、その設備が整っている居抜き物件は需要が高く、高額で取引されやすい傾向にあります。

トラブルを防ぐ!造作譲渡を成功させるポイント

居抜き譲渡はメリットが大きい反面、確認不足によるトラブルも起こり得ます。以下のポイントを押さえて交渉を進めましょう。


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■貸主の了承を得る

店舗の賃貸借契約の中に造作譲渡に関する取り決めを含めることはできません。造作譲渡で店舗売却をする場合、別途「造作譲渡契約書」を作成します。

契約は主に現在の借主と新しい借主の間で交わしますが、物件によっては貸主も含めた三者で交わします。どちらの場合であっても、造作譲渡をするには物件オーナーである貸主の了承が必須です。原状回復義務の免除に関わる重要な話ですので、買主との交渉を進める前に、必ず貸主に相談し了承を得ておかなければなりません。

■造作物の詳細を明確にする

現借主(造作の売り手)は、店舗にあるすべての造作物を譲渡の対象にする必要はありません。思い入れのある家具など、引き取りたいものは対象から外すことができます。

そのため、しっかりとリストをつくるなどして、現借主と新借主との間で「何が含まれて、何が含まれないのか」という認識の違いが起きないようにすることが大切です。

基本となる記載項目は、「貸主が了承していること」「造作譲渡の対象物リストとそれぞれの状態」「譲渡対象外となるもの(個人の私物やリース品など)」です。

■譲渡対象物の状態は具体的に示す

契約成立後に「冷蔵庫が冷えない」「エアコンが動かない」といった不具合が見つかった場合、トラブルの原因になります。

リスト作成時には「一式」といった曖昧な表現や主観的な情報に寄らないようにし、造作物のメーカー、型番、使用年数、故障・修理歴の有無、現在の動作状態などを具体的に記載しましょう。

「一式」としてまとめて譲渡してしまうと、後から故障品の処分費用や修理費用を請求されるなど、契約が複雑になりがちですので絶対に避けましょう。

■余裕を持って交渉する

開業希望者にとって造作物が揃っていることは理想的ですが、条件やイメージと合致しなければ契約は成立しません。その結果、次のテナントがなかなか決まらない可能性もあります。

退去日が迫っているのに買い手が決まらないと、最終的には「タダでもいいから引き取ってほしい」あるいは「高い費用を払ってスケルトンに戻す」という状況になりかねません。明け渡し日が近づくと、足元を見られて造作譲渡料を下げざるを得なくなるため、解約予告のタイミングも含め、退去予定日から余裕をもって売却活動を進めましょう。

■瑕疵担保責任(契約不適合責任)についての取り決め

売却後に隠れた不具合が見つかった際、売り手がどのような責任を負うかを決めておくことが重要です。これを以前は「瑕疵(かし)担保責任」と呼びましたが、民法改正により現在は「契約不適合責任」として扱われます。

中古品である以上、経年劣化や多少の不具合はつきものです。そのため、契約書にて「現状有姿(現在の状態のまま)での引き渡しとし、引き渡し後の修繕義務は負わない」といった免責特約を盛り込むなど、双方納得の上でリスクを回避する取り決めをしておくことをおすすめします。

造作譲渡料の交渉テクニック

造作譲渡料の決定権は現借主にあるため、自由に価格を設定できます。しかし、高すぎて買い手がつかなければ元も子もありません。双方での話し合いを大事にすることで、よい交渉ができるでしょう。

譲渡料を検討する上で特に考慮したいことは、造作物の使用年数、グレード、設置時の工事の有無などです。ただし、イスがいくら、冷蔵庫がいくら、とひとつひとつに譲渡料がつき、その合計で取引をするわけではありません。その物件の価値や、物件に造作物があることでの「開業のしやすさ」という価値が金額の決め手になります。

また、物件と同じで、店舗自体に付加価値があれば、造作譲渡料も高く設定することができます。駅からの近さなどの立地、これまでの集客力、手頃な賃料、路面店か空中階かなどから「ここで開業すれば成功しやすい」という付加価値があると言えれば、強力な交渉の材料になるのです。

造作譲渡ができれば、撤退する側は原状回復費用をかけずに売却益を得ることができ、買取側は短期間・低予算で開業できるという、Win-Winの関係を築けます。

しかし、大家さんの承諾やリース品の扱い、詳細なリスト作成など、注意すべきポイントも多くあります。今回紹介した流れやコツを押さえ、早めに準備を進めることが成功の鍵です。スムーズな売却を実現し、次のステップへと進みましょう!

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よくある質問(Q&A)

Q. 造作譲渡は課税対象になりますか?

A. はい、消費税の課税対象となります。店舗物件の「賃料」や「保証金」の一部は非課税の場合がありますが、内装や設備などの「造作譲渡代金」は事業用資産の売買にあたるため、消費税がかかります。

Q. 大家さんに造作譲渡(居抜き)を断られることはありますか?

A. あります。建物の老朽化で建て替えを予定している場合や、業態を変えてほしくない場合、あるいは過去のトラブルなどにより「次はスケルトンで返してほしい」と判断されることがあります。そのため、まずは大家さんへの相談が最優先です。

Q. 居抜き譲渡のデメリットはありますか?

A. 売り手側のデメリットは、買い手が見つからない場合に原状回復費用がかかるリスクがあることです。買い手側のデメリットとしては、前の店のレイアウトに縛られるため自由な店作りがしにくい点や、設備が古くてすぐに故障する可能性がある点が挙げられます。

Q. 譲渡する厨房機器が壊れていても売れますか?

A. 売ること自体は可能ですが、必ず「故障していること」をリストに明記し、相手に伝える必要があります。故障を隠して売ると、後から契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除などのトラブルに発展する恐れがあります。

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この記事を監修した人

三宅 宏通

株式会社ウィット 代表取締役

飲食業界に特化したM&Aサービスを主業とし、2007年株式会社ウィットを設立。

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