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飲食店の店舗を閉店・売却する際、物件や従業員に関わる必要な手続きはするものの、リース品のことは忘れがち……。しかし、それではトラブルの火種になってしまいます。そこで、居抜き売却時に注意すべきリース品の処分の仕方についてご説明します。
リースとは、リース会社が自社で購入した機器や設備などを長期間貸し出すことをいいます。飲食店は、リース会社と契約を結び、リース料や手数料を支払うと、機器や設備を借りて利用することができるのです。冷蔵・冷凍庫、食洗器、エアコンから製麺機、ゆで麺機、クリーム充填機といった専門的な什器までリースの対象になります。
リースの特徴は、リース品の所有権はリース会社にあること。そのためリース品を退去時にそのまま店舗に置きっぱなしにしたり、店舗と一緒に売却をしたりすることはできません。またもう一つの特徴は、不要になった場合はいつでも解約できるレンタルとは異なり、リースの場合は契約期間の途中で解約することができないこと。解約をする場合は、残額や違約金を一括で支払う必要があります。一般的にリース契約の期間は6年程度。例えば開業から5年で閉店する場合、1年分のリース契約の残額を支払わなければなりません。
居抜き売却では、物件の賃借権に加えて、備え付けられた内装や機器などの所有権が現オーナーから新オーナーに移ります。そのため、物件の中のものすべての所有権を現オーナーが持っていなければなりません。リース品には次の方法で対処しましょう。
■残額を一括精算してリース品を撤去する
リース会社の所有物が店内からなくなれば、現オーナーが物件の中にあるすべてのものの所有権を持っていることになります。
■残代金をリース会社に支払って、リース品を買い取る
リース品を買い取り、所有権を得れば、もともとあった備品と同じ扱いができます。譲渡対象に加えて売却することが可能です。リース品の買い取り相当額は売却価格に上乗せすることができるため、買取分の費用は回収することができます。注意したいのは、売却がはじまる前に、費用負担をして買取・所有権の取得を済ませなければならないという点。売却益をリース品の買取費用にまわすという順番は一般的には認められません。
■現オーナーから新オーナーに引き継ぐ
現オーナーがリース会社と交わしているリース契約を、新オーナーに引き継ぐという方法もあります。ただし、その契約は現オーナーがリース会社の審査に通過したために結べたものであって、新オーナーも結べるとは限りません。一部、現オーナーが連帯保証人になることを条件に、名義変更を認めているリース会社もあるようです。
■残額の支払いを続けながら、リース品を返却する
リース品を返却する場合、本来は残額を一括精算しますが、分割での支払いに応じてくれるリース会社もあります。「一括清算ができない」「新オーナーに引き継ぎたかったが、できない」といった場合には相談してみるとよいでしょう。
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中にはリース品であることを忘れて譲渡対象にしてしまうケースもあるでしょう。トラブルが発生するだけでなく、最悪の場合、取引自体が破談になりかねないため、十分に注意してください。居抜き売却を進めるときは、店内にあるリース品とその残額、契約内容の確認を必ず早い段階で行いましょう。ものによって契約年数や契約内容が異なり、最適な対応も異なるはずです。必要に応じて、リース会社に対処方法を相談してください。閉店を伝えると、リース会社から契約している備品を処分して良いと言われるケースもあります。その場合、正しく廃棄したことを示す「廃棄証明書」の発行が必要となることも。処分する際にもしっかりと手順を踏むことが大事です。
居抜き売却において、造作譲渡は売り手にとっても買い手もとっても重要な工程です。お互いに「こんなはずじゃなかった!」ということが起きないように、リース品の処分を確実に進めてください。
飲食店舗の売却は、募集から1~3ヶ月ほどで売買が完了するケースが多い傾向にあります。
ただし、売却価格や賃料が相場に比べて高い場合には、さらに時間がかかることもあります。
スムーズに売却をするには、募集条件以外に、内装や設備の状態もとても重要な要素になります。
業態別の売却チェックポイントや相場情報が参考になります。
飲食店の店舗売却は、物販店や事務所などのテナントと異なり、内装や設備をそのまま使うことができるという点が大きな特徴です。
また、買手もほとんどが飲食店ですので、立地条件や営業時間の制限など様々な要素を考慮して買取の打診を行います。
その他、原状回復の面でもメリットがあります。
物販店や事務所は、棚やデスクなどの家具類を搬出すると原状に戻せる場合もありますが、飲食店の場合は厨房や床、壁など店内のほどんどを専用に造作しているため、原状回復コストが比較的大きくなります。
居抜きで譲渡すれば、このコストを大幅にカットすることができます。
管理元の不動産会社または貸主に造作譲渡の承諾を取る際には、売却を行いたい理由を明確に伝えたうえで、居抜きで別の方に造作を譲ったり売買をすることが可能なのかを確認する必要があります。
売却ができない理由を詳しく聞くことで、双方にメリットがあるように交渉をすることも可能です。
譲渡の承諾を得る際の交渉方法は状況によりさまざまですので、まずは専門家にご相談することをお勧めいたします。
飲食店ドットコム 居抜き売却ではお電話でのご相談も承っております。
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