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開業と閉業を同時に行う飲食店の「移転」のコストは高額!節約ポイントは「造作譲渡」

2024年5月9日 更新


画像素材:PIXTA

業態変更や売上アップのための立地改善、規模の縮小などを進める上で「移転」は非常に有効な策です。一方で、移転は開業と閉業を同時に進めるため大きな出費は避けられません。そこで具体的にどんなお金が必要で、どうすれば節約できるのかをご紹介します。

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移転コストは高額!でも相応のメリットがある

「移転」をするのは、新店舗の開業と現店舗の閉業を同時に行うことと同じです。当然、「開業費用」と「閉業費用」が同時に必要になるため、コストはかさんでしまいます。ただ、移転のメリットは十分にあります。経営状況に合った規模・立地で開業できれば利益をつくりやすくなりますし、現店舗のイメージを切り離して営業していくこともできます。新店舗の開業準備期間にも現店舗の営業を続けられるので、収入がゼロになる期間を短くできることは大きな安心感となるでしょう。

閉業と開業に必要な主なコストとは?

では、飲食店を移転するさい、閉業と開業にはそれぞれどのようなコストが必要となってくるのでしょうか。

■閉業の場合
1)解約予告期間分の賃料
賃貸借契約を解消したいとき、入居者は物件オーナーに事前に意思表示をします。ただ、自由に退去できるわけではなく、解約を申し入れたあとでも家賃を払い続けなければいけない「解約予告期間」があります。3~6カ月間程度が一般的です。期間は賃貸借契約書に記載されています。同時に、契約書に解約に関する違約金等の記載がないかも確認しましょう。

2)原状回復工事費
賃貸借契約を終了する場合、入居者は物件オーナーに対して「原状回復義務」を負います。内装を取り払って修繕をする程度の工事か、スケルトン工事をするかによっても費用は異なりますが、坪あたり数万円はかかります。厨房やトイレの位置を変更したり増設したりした場合は、工事費用が高くなることがあるようです。

3)リース品の精算コスト
リース品はリース会社に返せば支払いが終わるわけではありません。リース契約品を新店舗に持っていかない場合は、残額を一括で支払わなければいけないケースもあります。リース会社との契約内容を確認してください。

4)従業員の給料(解雇予告手当の支払い)
労働基準法において、経営者が従業員を解雇するときは、解雇する日の30日前まで「〇月〇日付けで解雇します」と伝えなければならないとされています。例えば3月31日付の解雇であれば、3月1日までに伝える必要があるのです。30日前までに予告しなかった場合、経営者は解雇予告手当の支払義務を負います。支払い対象となる日数は、解雇予告時に不足している日数分。例えば12日前に解雇を予告された場合は、18日分の解雇予告手当を支払います。即日解雇であれば30日分ということです。ただし、必要日数にプラスした支払いが求められます。

■開業の場合
1)物件取得費
物件取得費とは、保証金、仲介手数料、前賃料などです。物件取得費は開業コストの中でも高額。賃貸借契約の解約で戻ってくる保証金を充てようと考える方もいらっしゃいますが、戻ってくるのは償却分を除いた金額です。賃料や水道光熱費の未払い、原状回復工事が未完成といった場合は保証金から差し引かれる可能性もあります。保証金に頼らずに物件取得費を準備しましょう。オープンまでの3カ月程度の空家賃も必要だと考えておくべきです。

2)店舗・設備投資費用
内外装工事や機器や備品の買い替えなどでもコストがかかります。

3)運転資金
移転前の店舗が順調な経営状態であっても、新店舗で続くとは限りません。経営が安定するまでに3カ月はかかるとみて、運転資金をそろえておきましょう。


画像素材:PIXTA

「造作譲渡」すればコストを節約できる

閉店時にかかる最も大きな費用は「原状回復工事」です。現在の店舗を「居抜き売却」することができれば、工事を回避できます。解約予告期間を問われることもありません。また、付帯する造作を売却できると利益を得られることもあります。ただし、居抜き売却をするには物件オーナーの承諾が不可欠です。

移転先の店舗も居抜きで取得しましょう。前店舗の造作を引き継げれば店舗・設備への投資費用を最小限に抑えることができますし、開業準備期間を短くすることもできます。その分、経営の黒字化も早まるはず。唯一問題となるのは、売却と購入のタイミングを図る必要があることです。移転先選びの軸を決めた上で、専門の業者のサポート受けることをおすすめします。居抜き物件の活用は飲食業界では非常に活発です。物件オーナーも居抜き売却を歓迎する傾向にあります。賢い「移転」で業績アップを目指してください。

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