パン屋を居抜きで売却!造作譲渡の強みを生かし、同業態での売却を目指して
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一説によると、日本でパンブームがはじまったのは、パン屋でバゲットやクロワッサンが売り出された1996年ごろ。以来、パンの人気は衰えていません。そのため、パン屋の居抜き物件の取引価格は高値なのことをご存じですか。パン屋の居抜き売却のポイントをご紹介します。
人気は焼き立てパンが販売できるベーカリー型
一口にパン屋といっても、営業方法はそれぞれです。パンを作る工程のすべて、もしくは焼き上げを店に併設された工房で行う形態のほか、製造されたパンの小売りのみを行う形態もあります。このうち、近年のパンブームを牽引しているのは前者。焼き立てパンを売る、いわゆる「ベーカリー」やイートインスペースがある「ベーカリーレストラン」に魅力を感じる消費者が多いようです。
高値の居抜き売却ができるのも「ベーカリー」です。消費者からの人気があることに加え、パンの製造に必要な厨房機器の造作譲渡ができるためです。パン屋を0から開業するとなると専用の厨房機器をそろえるだけで500万円以上かかるため、居抜き物件を選ぶことは買い手にとって大きなメリットになります。
パン屋の売却のポイント
では、実際にパン屋の売却を考えたとき、高価買取を目指すために注意しておきたいことはなにがあるのでしょうか。
■厨房設備
ミキサー、ホイロ、モルダー、オーブン、フライヤー、急速凍結庫、バケットモルダー、クレセントモルダー、パイローラー、包餡器などの厨房設備があると高額査定につながります。店ごとに使用する設備は異なるものの、日頃から清潔に保たれ、大切に使われてきた設備は査定にプラスになります。厨房の作業導線がスムーズであることや、その設備があることで人件費を抑えられる、製造量を増やせるなどのメリットをアピールできるとさらに効果的です。
パン屋ならではの造作譲渡の強みを活かすため、売却先は他業態ではなく同業態で進めることをおすすめします。他業態を対象にすると、厨房設備の価値をわかってもらえず、評価されない可能性があるためです。なお、ダクトやグリストラップが完備・手入れされていることはパン屋に限らず高評価されます。
■立地
おいしいパンの情報がSNSで広がる今、遠方からこだわりを持って買いに来る消費者は珍しくありません。飲食店の物件の売却額は立地に左右される部分がかなりありますが、パン屋の場合は一等地でないことが評価を大きく下げることはあまりないようです。
ただし、立地と物件の特徴が合致しなければ集客できないため、オフィス街の物件ならイートインスペースがある、住宅街の物件なら駐車スペースがあるなどは査定のポイントになります。裏通りの立地の場合は、集客できるか不安を持つ買い手もいるはずです。看板を出せるポイントなどを伝え、立地に不利を感じさせないアピールをしましょう。
■外観
パンがディスプレーされている様子は購買意欲を刺激します。大きな窓がある、ガラス張りの店舗は好まれる傾向があります。
■内装
パン屋には清潔感が欠かせません。天井や壁紙に汚れがないことは評価されます。万人がパン屋に抱くイメージであるシンプル、アットホームなどの印象の内装は買い手にも好まれやすい傾向があります。
販売スペースから厨房内が見えるオープンキッチンは、丹精込めてパンを作っている様子やパンの焼き上がる匂いをお客さまに伝えやすいため、人気が上がっています。販売スペースでは、パンのショーケースやサンドイッチ、ハンバーガーなどを販売するための冷蔵ショーケースの状態がよいことも大切です。
■競合
スーパー、コンビニなどでもパンは販売されているため、競合する店が近隣にあることは珍しくありません。開店時間と閉店時間、来客層、扱っているパンの種類や数、人気商品、焼き上がり時間など、細かな営業データを提示できると商談が進みやすくなります。
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小売店も売却できる
近年では、製造はシェアキッチンなどの設備を使う、店舗での販売に加えて冷凍パンのネット販売もするなど、パン屋の新しい運営方法ができてきています。そのため小売店を探す買い手も増えてきています。小売店の場合、スイーツ販売店や他業態のテイクアウト物件に転用ができるでしょう。ベーカリー形態でなくとも売却できる可能性は十分にあります。
撤退をするとき、気掛かりなのはスケルトン工事費用です。居抜き売却はその負担を大きく減らす可能性があります。ぜひご検討ください。