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コロナ禍で、閉店や撤退を決意する飲食店が増えています。しかし、どのような手続きを踏んだらよいのかわからなかったり、実際に閉店や撤退を行う際のコストが気になっている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、飲食店の物件を解約する際に必要なステップや注意点を紹介します。
1)解約予告期間を確認
物件解約をするとき、まずすべきことは「解約予告期間の確認」です。賃貸借契約書には「解約予告期間」が定められています。
・解約予告……借主が物件を返却する意思を貸主に伝えること
・解約予告期間……解約に必要な期間のこと。借主はこの期間中も賃料を支払う義務がある
解約予告期間が4か月の場合、退去希望日の4か月前には家主に伝える必要があります。すぐに撤退したとしても、4カ月分の賃料は払わなければなりません。解約予告期間は物件ごとに異なるため、自身の賃貸物件の解約予告期間をしっかり確認しましょう。
解約予告期間が長い場合、救済措置が設けられている契約もあります。例えば、期間中でも次のテナントの賃料が発生するようになる場合は、前テナントの賃料は打ち切るといった内容が記載されている場合があります。救済措置も含め、きちんと賃貸借契約書を確認することが重要です。
2)解約通知
解約予告期間を確認できたら、その意思を貸主に伝えます。伝える際は原則「解約通知書」と呼ばれる書面で行い、解約の意思を示し、その日時を確定させます。解約通知書は、不動産会社や貸主の所定の書式が求められる場合もあるので確認しましょう。
3)指定された状態に原状回復工事
物件を明け渡す際には、借主の責任において原状回復工事を行わなければなりません。スケルトン状態を指定する契約内容がほとんどですが、中には入居する前の状態に戻せば良いケースも。
費用は一般的には坪5~10万円ほどがかかりますが、路面店か空中店舗かなど、店舗の立地や状況によっても異なります。また、工事開始までに、リース品の返却や残債務の支払いも忘れずに行いましょう。
工事は解約予告期間終了時までに完了させなければなりません。早めに工事期間を業者に確認し、閉店のスケジュール決めることをおすすめします。工事費用も早めに確認し、閉店費用がどれくらい必要か把握しましょう。
4)引き渡しと保証金返還
解約予告期間終了時には貸主に鍵を返却し、引き渡しを行います。その後、預けていた保証金を返還してもらいます。
保証金とは、賃料を滞納した場合に滞納分を担保するために、物件を借りるときに預けるお金のことです。飲食店舗物件の保証金の相場は賃料の10ヶ月ほどなので、数百万を預けているケースが多いでしょう。
保証金は、償却分を差し引いた分が返金されます。一般的には保証金の10%~20%、または家賃の1~2ヶ月程度が償却費になります。ただし、償却割合には地域性があるため、契約書をよく確認しましょう。また、返金時期は貸主それぞれなので、併せて確認することが望ましいです。時期が明記されていない場合は、担当の不動産会社へ問い合わせてみましょう。
指定された状態に工事ができていない場合、保証金から追加工事に必要な費用が差し引かれることがあります。また、賃貸住宅の場合、経年劣化は貸主が負担することがありますが、店舗物件では適用されません。
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物件の解約は、借主に大きな負担を強いるもの。できるだけコストを抑えたい場合は、以下の点に気を付けて進めてみましょう。
■解約通知時に希望を伝える
貸主によっては交渉に応じて、解約予告期間を短縮して空家賃の期間を短くしてくれたり、スケルトンにせずに居抜きのままでの退去を承諾してくれたりすることがあります。交渉したい場合は、解約通知を出したタイミングで自分から行いましょう。
■見積もりを数社から取る
原状回復工事、什器・備品類の買取りは数社に相談し、見積もりを取ります。自分が納得できる内容と予算の業者を選びましょう。
■居抜き譲渡する
スケルトン工事がなくなることに加え、内装や什器等を買い取ってもらえるため、もっとも効果的なコスト削減策といえます。ただし、居抜き譲渡が認められているケースは限られるので、貸主へ事前に相談することから始めましょう。
物件の解約は場合によっては、費用がかさんだり、トラブルが起きたりする可能性も考えらえれます。まずは契約書をしっかり読み込み、自店にとってどの時期や方法がベストかをきちんと考えてみましょう。
飲食店舗の売却は、募集から1~3ヶ月ほどで売買が完了するケースが多い傾向にあります。
ただし、売却価格や賃料が相場に比べて高い場合には、さらに時間がかかることもあります。
スムーズに売却をするには、募集条件以外に、内装や設備の状態もとても重要な要素になります。
業態別の売却チェックポイントや相場情報が参考になります。
飲食店の店舗売却は、物販店や事務所などのテナントと異なり、内装や設備をそのまま使うことができるという点が大きな特徴です。
また、買手もほとんどが飲食店ですので、立地条件や営業時間の制限など様々な要素を考慮して買取の打診を行います。
その他、原状回復の面でもメリットがあります。
物販店や事務所は、棚やデスクなどの家具類を搬出すると原状に戻せる場合もありますが、飲食店の場合は厨房や床、壁など店内のほどんどを専用に造作しているため、原状回復コストが比較的大きくなります。
居抜きで譲渡すれば、このコストを大幅にカットすることができます。
管理元の不動産会社または貸主に造作譲渡の承諾を取る際には、売却を行いたい理由を明確に伝えたうえで、居抜きで別の方に造作を譲ったり売買をすることが可能なのかを確認する必要があります。
売却ができない理由を詳しく聞くことで、双方にメリットがあるように交渉をすることも可能です。
譲渡の承諾を得る際の交渉方法は状況によりさまざまですので、まずは専門家にご相談することをお勧めいたします。
飲食店ドットコム 居抜き売却ではお電話でのご相談も承っております。
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