赤字飲食店の原因と立て直しのコツは?損害を出さずに撤退することも選択肢の一つ
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飲食店の経営は難しく、黒字を維持するのは簡単ではありません。赤字になったからといってすぐに店がつぶれるわけではないものの、原因を探り立て直しを図りたいと考えるはずです。そこで、立て直しのコツや経営の改善が見込めない場合の対処法をご紹介します。
赤字には「一時的な赤字」と「慢性的な赤字」の2種類がある
赤字には2つのパターンがあります。一つは賃貸契約の更新や設備投資をするなどして多額の費用を計上したために起きる一時的な赤字、もう一つは原価や固定費が膨れてしまっていることで起きる慢性的な赤字です。余裕資金や融資があり店舗を維持できるとしても、赤字が長期的に続けば、経営への影響は避けられません。経営者の精神的なつらさを減らすためにも早急な立て直しが求められます。
立て直しに必要なのは「売上を上げる」と「費用を下げる」の2つ
赤字から脱却して店を立て直すには、利益を出すことが必須です。そのためには「売上を上げること」と「費用を下げること」の2つを考えましょう。赤字の店舗の場合、どんぶり勘定で経営していることは珍しくありません。はじめに取り組むべきは「お金の流れを見える化」し、立て直しのポイントを見つけることです。そのために有効なのが月次の損益計算書。月ごとの売上、原価、期首・期末在庫、人件費、家賃、水道光熱費などを把握し、経営状態を客観的に見ることで問題点が見つかるかもしれません。インターネットで公開されている無料のテンプレートを使えば、簡単に導入できます。お金の流れを見える化した上で、「売上を上げる」と「費用を下げる」を実現するために次のことに取り組んでみましょう。
■無駄な経費の削減
有料のグルメサイトで集客ができているか、求人媒体に経費をかけすぎていないか、清掃業者の活用方法は適切か、インターネットやFAXの契約内容は適正かなど、何気なく続けていることを一度改めてみましょう。本当に必要なものだけを残すことで、無駄を省くことができるはずです。
人件費のチェックも重要です。長く人員配置やシフト管理を見直していない場合、無駄な人件費が発生していることも考えられます。
■集客力を強化する
新規顧客獲得のためにgoogleビジネスやSNSの活用、SNSと予約システムの連動といったデジタルマーケティングの強化を検討します。クーポンを配るといったリピーター獲得のための動きも同時に行いましょう。店舗の内外での取り組みを並行して行うことで、集客力が強化できます。
■メニューと価格を見直す
飲食店にとって、メニューは重要。人気メニューのジャンルを強化して優位性を高めたり、限定メニューをうまく使いライバル店との差別化を図ったりして購買意欲に働きかけましょう。サイドメニュー、セットドリンク、トッピングを増やすことは客単価のアップが狙えます。
原価と販売価格のバランスを見直し、適正価格にすることも欠かせません。原価を下げたり量を減らしたりするばかりでは価値が下がってしまいますし、リピーターを手放しかねません。
■座席数を増やす
売上は「客数×客単価」で計算できるため、テーブルレイアウトを変更して席数を増やしたり、座席稼働率を上げたりことも有効です。カウンターを積極的に使うだけでなく、業態や時間帯によってはテーブルに仕切りを用意し、相席しやすくするのも良いでしょう。
■回転率を上げる
料理の提供時間を短くしたり、片づけと案内を手早くしたりすることで、お客さんにとって「居心地が悪い」印象にすることなく回転率を上げることができます。
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赤字が膨らむ前に撤退することも必要
上記以外には業態変更をしたり、賃料の安い物件や集客力の高いエリアに移店したりする方法も考えられますが、費用負担が発生します。中長期的に見て、経営の改善が見込めないと判断せざるを得ない場合、早めに撤退するのが賢い経営といえます。
撤退方法として検討したいのが、「居抜き売却」です。通常、物件を手放す際には原状回復工事や解約予告家賃を負担しなければなりません。しかし、居抜き売却をすることで費用負担が軽減でき、売却益が得られる可能性があります。買取先を見つけたり、手続きを無理なく進めたりするためには、専門知識を持つ業者への相談がおすすめです。まずは専門の会社に相談してみるとよいでしょう。