潰れるラーメン店の特徴は?見直しポイントや負債を減らして閉店する方法を紹介
画像素材:PIXTA
ラーメン店は出店したい業態ランキングにおいて上位の常連です。一方で廃業・倒産が多く、新規開店から3年で7割以上が潰れるといわれています。ラーメン店特有の競合の多さ、単価の低さなどに加え、近年ではコロナ禍の補助金の終了、飲食業界全体が悩む物価高や人手不足、後継者不足なども背景にあるでしょう。この記事では潰れるラーメン店の特徴や、万が一のために知っておきたい廃業の仕方をご紹介します。
2023年、ラーメン店の倒産件数が激増
東京商工リサーチによると、2023年のラーメン店の倒産(負債1,000万円以上)は45件で前年の2.1倍、2009年以降では最多となりました。コロナ禍は補助金や助成金に支えられて経営を続けたものの、支援が終了したために閉店を選んだ店舗が多かったと考えられます。また「飲食店.com」の飲食店の営業年数の業態別割合の集計からは、ラーメン店の4割以上が営業1年以内に閉店していることが判明。飲食業界全体の傾向から見ても、ラーメン店の廃業率は非常に高いことは明らかです。
潰れるラーメン店の特徴は?
では、倒産や閉店に追い込まれるラーメン店にはどのような傾向があるのでしょうか?
■価格設定がまちがっている
ラーメンには「1000円の壁」があると言われ、1杯の価格が1000円を超えると顧客離れが起きると考えられています。しかし材料費、光熱費、滞在時間と回転数などを考慮すると1000円を超える価格設定が求められることもあります。しかし、必要に迫られて値上げに踏み切っても1000円を超えられない店舗は珍しくありません。価格設定を間違えれば、売上が立ったとしても利益が少ないため、経営が傾いていくのは明らかです。業界の慣習や感覚にとらわれず、経営面から価格設定を考え直してみることが重要です。
■リピーターがつかない
多くの顧客はラーメンをファストフードと捉えています。つまり、時間帯を問わず、席に着いてからは素早い提供を求めています。料理の提供が遅く顧客の満足度が下がれば、リピーターが得られません。リピーターが得られなければ、集客の土台はいつになっても弱いままです。
■出店計画が甘い
ラーメン店は、店舗や調理設備への大きな投資を必要としないため、少ない開業資金でも出店できます。手持ち資金が少なくても、自治体や金融機関などの創業支援を受け、出店に至るケースもあります。ですが競合の多さ、価格設定の難しさなどが理由で売上が伸びない、運転資金が底をついたとなれば出店計画は崩れ、営業を長く続けることは難しくなっていきます。
■人材不足・人材教育不足
ラーメン店では多くの従業員を必要としませんが、油っぽさや臭い、忙しさから人材の採用に苦戦することがあります。さらに、経営者がラーメンへの強いこだわりは持っているけれど接客には弱く、人材教育をしない・できないとなれば、店の評価を高める接客はできませんし、従業員も定着しづらくなります。
画像素材:PIXTA
負債があるなら居抜き売却を
残念ながら閉店をすることになっても、負債が少なければ正しい判断と考えるべきでしょう。難しいのは閉店したくても負債を理由に閉店できない、閉店しても返済に追われてしまうケースです。そこで、検討したいのが「居抜き売却」です。居抜き売却とは、使用していた内装や設備、什器などを残したまま店舗を売却することです。通常、撤退時にはスケルトン工事をしなければならず、この費用がさらなる負担となりますが、工事をせずに撤退できるので閉店コストを抑えることができます。さらに造作の譲渡ができるため、売却益を得られる可能性もあります。
特にラーメン店は開業を目指す人が多い分、物件への需要も多くあるため売買が成立しやすい業態と言えます。茹で麺器(麺ゆで釜)、餃子焼き機、製麺機などの専門の機器は高評価されることは珍しくありません。ただし、清掃を怠っておりあらゆる場所の油汚れが目に付く、床が汚れているといった店舗は査定でマイナスになります。清潔感は常に保っていきましょう。
居抜き売却は負債に悩む経営者にとっても、賢く撤退したい経営者にとってもメリットの多い方法です。ただし、個人で売却先を探す場合は契約書の手続きや交渉などすべて自分で行う必要があり、負担が大きいでしょう。売却を進める際は経験豊富な専門業者に依頼し、サポートを受けることをおすすめいたします。