閉店しやすい業態トップ3とは?飲食店オーナーが知っておきたい店舗売却のポイント
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1年以内の廃業率は約3割、10年以内の廃業率は約9割と言われる飲食店。他の業種に比べても廃業率の高い飲食店ですが、中でも特に閉店しやすい業態はあるのでしょうか。「飲食店ドットコム」を運営する株式会社シンクロ・フードでは、閉店した飲食店の業態と営業年数を調査。調査結果で分かった閉店しやすい業態と、各業態の店舗売却のポイントを取り上げます。
閉店しやすいのは「お弁当・惣菜・デリ」「そば・うどん」「ラーメン」
調査:株式会社シンクロ・フード
閉店した飲食店の業態と営業年数を集計したところ、「お弁当・惣菜・デリ」「そば・うどん」「ラーメン」「カフェ」の4業態において、6割以上の店舗が営業3年以内に閉店していることが明らかになりました。さらに、そのうち3割以上の店舗は営業1年以内に閉店。昨年行った調査・集計(調査期間2016年1月1日~2022年12月31日)においても同様の結果が出ていることから、弁当店やラーメン店などは生き残ることが難しい業態であることが改めてわかりました。
一方で、営業3年を超える店舗の割合が高いのは「和食」「寿司」「フランス料理」の3業態。これらは飲食店の中でも特に専門的な技術が必要な業態であるため、参入の障壁が高い分、競合が少ないことが営業を続けやすい理由のひとつだと考えられるでしょう。
「お弁当・惣菜・デリ」「そば・うどん」「ラーメン」の店舗売却のポイントは?
それでは、閉店しやすい上位3業態の店舗を上手く売却するポイントを、一つずつご紹介します。
■お弁当・惣菜・デリ業態
人気の立地はランチ需要のあるエリア。オフィス街や駅前、商店街は買い手が見つかりやすいでしょう。コンビニやスーパーは作り置き商品が多いのに対し、出来立てを販売できるのが専門店の強み。冷蔵庫やガスレンジ、フライヤーなどの基本的な設備は揃っているのが理想的です。一方、セントラルキッチンであれば立地はそれほど重要ではありません。基本設備以外には、駐車スペースがあるとよいでしょう。
■そば・うどん業態
ファストフード店に分類されるような立ち食い店、丼物も扱う店であれば、オフィス街や駅前、商店街など人通りが多い立地の需要が高い傾向があります。こうした店舗は回転率が求められるため、5~10坪程度の坪数で十分です。オーダーから提供までの時間が短いことが理想的であるため、設備の導線が整っていることやカウンターがあることもプラスになるでしょう。
さらに茹で麺機、製麺機などの専門機器のほか、天ぷらを揚げられるフライヤー、券売機があることは査定にプラスになります。製麺機やフライヤーのある店舗の場合、小麦や油の特有の汚れが出ている箇所があるはずです。定期的に清掃し、清潔感を保っておくのがベスト。内見時、買取希望者によい印象を与えることができます。
■ラーメン業態
ラーメン業態は出店希望者が多いですが、においの問題から出店できる物件は多くはありません。そのためラーメン店の居抜き物件の需要は高く、売却がうまくいくケースが多いようです。広さは、繁華街やオフィス街の物件であれば、10坪以下のカウンターメインの店舗が好まれます。ロードサイドの店舗であれば、駐車場があったり看板が設置しやすかったりする広さが確保できることが理想的です。
設備機器に関しては、ダクトやグリーストラップが完備されていることに加え、茹で麺器、餃子焼き機、製麺機、スープレンジ、冷凍冷蔵庫、製氷機、券売機などが揃っていると評価は高くなるでしょう。ラーメン業態は転廃業が多いため、中古の厨房機器がたくさん出回っていますが、買い手は初期投資を抑えるために設備が整った居抜き物件を探す傾向があります。設備機器はできる限り清潔に保っていきましょう。さらなる高額査定を狙うには、清掃が重要です。グリーストラップは臭気や油汚れがたまりやすいところ。定期的な清掃を欠かさないようにしてください。
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周辺環境の情報提供は高額査定にプラスにはたらく
業態を問わず、スムーズな売却を目指すなら、そこで営業していたからこそ分かる周辺環境の情報提供は有効です。小売店や競合の有無、人流や客層の特徴。看板設置のルールなどをまとめて提供してください。飲食店ではゴミやにおいを発端とするトラブルが起きることがあります。過去に近隣店舗とトラブルがあった場合、どういった内容でどんな対処・対策をしたのかも隠さずに伝えるようにしましょう。