飲食店が黒字なのに閉店する理由は?撤退コストを抑えるには事業譲渡や居抜き売却の検討を
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飲食店の中には、黒字でも店じまいする店があります。自ら決意するケースもあれば、やむを得えないケースもあるでしょう。飲食店が黒字閉店をする代表的な事例や決断すべきタイミングとともに、閉店コストを抑える方法をご紹介します。
黒字でも閉店はあり得る
「閉店」と聞くと赤字が原因だと思いがちですが、実際には黒字であっても珍しくありません。黒字閉店でよく聞くのは、一般的に「黒字倒産」といわれるもの。帳簿上は利益が出ていて黒字経営ができていますが、手元資金が足りずに倒産するケースです。飲食店の中には、売上は立っていても、カード決済などの影響で入金サイクルと支払いサイクルとが合わなくなり、キャッシュフローが徐々に悪化していくことで黒字倒産が起きることがあります。
また経営者の考え方により、閉店となるケースもあります。近年多いのは、人材の確保・育成が難しく、これ以上の利益拡大が見込めないことや、原材料価格やエネルギー価格の高騰、人材費増などから将来的な事業拡大が想像できないことなどが理由で閉店するケースです。このほかにも、他のビジネスに関心が向いている、よい条件で他の仕事の誘いがあった、借入金の残高がすくなくなってきたといったタイミングで閉店を考える人もいます。また、後継者がいない、家族との時間を増やしたいといった理由で、閉店する場合も。
もちろん経営状態に関わらず、撤退にはコストがかかります。ギリギリの黒字が続いていたり、業績向上に限界を感じていたりする場合、財務内容やキャッシュなどにある程度の余力が残っている状態のうちに撤退をするのはひとつの経営戦略といえるでしょう。
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撤退コストを抑える「居抜き売却」「事業譲渡」を検討しよう
大きな負担となりがちな撤退コストを減らす方法があります。それが「居抜き売却」や「事業譲渡」です。
■居抜き売却
居抜き売却とは、店舗の内装や設備を残したまま、丸ごと店舗を売却することです。スケルトン工事をする必要がなく、解約前予告家賃の支払い期間を短縮できる場合もあります。また、立地がよかったり、内装や什器などの造作にも値段がついたりすれば、売却・譲渡益を得られ、閉店コストを大きく削減できる可能性もあるのです。新しいオーナーにとっては、開業コストを抑えられる、開業までの時間を短縮できることが大きなメリットになります。
知っておきたいのは、株式譲渡や事業譲渡のような経営権や営業権の譲渡は含まないこと。そのため店舗を丸ごと売却するものの、店名は残りません。また立地が悪かったり、内装や設備が古くなっていたりする場合、なかなか買い手が見つからなかったり、交渉が難航したりすることもあるでしょう。
■事業譲渡
事業譲渡とは、事業の全部または一部を他の会社に譲渡することです。事業譲渡では、飲食店の内装・設備などを含めた店舗丸ごとと、従業員、メニュー、経営ノウハウ、ブランド力といった資産も譲渡の対象になります。買い手は赤字の会社を手に入れると、事業を立て直さなければなりません。しかし、黒字の会社であれば利益を生み出しやすいためとても魅力的です。
事業そのものの価値や業績を含めた評価額で売却ができるため、黒字閉店を検討している場合、造作譲渡をするよりも好条件で取引が成立する可能性があります。経営からは手を引きたいけれど、店名や味を残したい場合にはおすすめの方法です。株式譲渡とは異なるため、株式を発行していない個人経営の飲食店でも事業譲渡はできます。
居抜き売却、事業譲渡どちらの場合でも、買い手を見つける、さまざまな資料や書類をつくる、交渉をするという工程が伴います。できる限りスムーズに、そしてトラブルなく進めるには、支援サービスを活用するのがおすすめです。「居抜き情報ドットコム」では、居抜き売却だけでなく、事業譲渡の相談も合わせて可能です。「自店に合う方法は?」「どちらが良い選択なのか迷っている」といった方は、ぜひお問い合せください。