飲食店が潰れる前兆と対策。改善しない場合、経営者はどうすればいいの?
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飲食店の閉店は、ある日突然起きるわけではありません。必ず前兆があるため、それを知って対策をとれば、立て直しができる可能性もあります。一方で、対策をしてもうまくいかないこともあるでしょう。そこで、飲食店で潰れる前に起きる危険な特徴と対策、そして対策がうまくいかない場合の選択肢をご紹介します。
飲食店の廃業率は依然として高い
廃業率が高いことで知られる飲食店。社会状況の変化が大きい近年は、特に影響を受けやすくなっています。中小企業庁「2022年版 小規模企業白書『業種別の開廃業率』」によると、全産業の廃業率は3.3%に対し、飲食サービス業(宿泊サービス含む)は5.6%。すべての業種の中で最も高い廃業率です。
経営者は、来店客数の減少や数字にあらわれる結果を見て経営の舵取りをするのはもちろん、日々の営業活動の中で危険な流れができていないかに目を向けていく必要があります。
飲食店が潰れる前兆と改善に向けた取り組み
次に、飲食店経営者が注意しておきたい危険な特徴と、改善に向けた取り組み例を取り上げます。
■クーポンなどを使った割引やプレゼントを多用している
店の料理や接客、雰囲気などに魅力を感じたお客さまに来店してもらえることが理想的であり、これが売上の安定や伸びにつながっていきます。しかしお客さまの来店動機がクーポンでの割引やプレゼントにある場合、クーポンがなくなれば来店客数が減ってしまう可能性が。クーポンや割引券を止められなくなり、広告費が増大していき、経営を圧迫してしまうのです。
クーポンを載せる媒体を精査したり、クーポン内容を見直したりする必要があります。時季にあわせてメリハリをつける、自分たちで発信できるSNSなどを活用するといったことを検討してみましょう。
■お客さまの固定化が起きている
常連さんは大切なお客さまです。しかし、新規のお客さまには魅力が感じられる点がない店になっている場合、売上は安定していても伸びが望めない状況になっているとも考えられます。看板、ポップ、のぼりなどを使い、商圏で活動している人たちに向けたPRはできていますか。初心に戻り、新規のお客さまへのアピールは継続していきましょう。
■「できない」が増えている
新しい情報をHPやSNSで発信できる環境が整っているのに、更新ができていない場合は要注意のサイン。更新されていないHPやSNSでは、店の魅力が伝わりづらく、お客さまの来店意欲が落ちてしまいます。
また、掃除が行き届かなくなった、料理の提供が遅くなったなど、「できない」ことが増えているのは人手不足の証拠です。人手不足は、サービスの低下からお客さまが離れるだけでなく、営業時間の短縮といった対応を取らざるを得なくなります。その結果、売上が減少する、負担の増加からさらなる退職者が出るなど、さらなるマイナス要素につながる可能性があるのです。人材の配置や過不足を見直し、必要に応じて募集をするなどの手を打つことが大切です。
■原価を管理していない
料理に魅力があれば集客はできます。しかし、感覚頼りで原価を算出していなかったり、原価が高過ぎたりすることはありませんか。原価の管理不足は、利益率の低下や食材ロスといった問題をはらんでいることが想像できます。原価の把握と原価に見合った価格設定、食材の有効活動なども大事なポイントです。
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借金の増加は、閉店後の生活に支障も。撤退時は居抜き売却の検討を
問題点の改善への取り組みが進めばよいのですが、うまくいかないこともあるでしょう。だからといって、問題点から目を背け、ダラダラと営業を続けるとさらなる問題を招いてしまうリスクがあります。多いのは、借金の増加。そうなると閉店後の生活にも支障がでてしまいます。
そこで知っておきたいのが「店舗売却」です。使用していた内装や設備、什器などが残ったままの状態で売却する居抜き売却ができれば、スケルトン工事をせずに撤退できるので閉店コストが抑えられます。さらに造作譲渡ができれば、売却益を得られることも。それまでの借金を減らしたり、新しい生活に活かしたりとメリットは多くあります。また、専門業者のサポートを受けることで、個人事業主でも店舗売却はスムーズに進めることができるのも、特長と言えるでしょう。
大切に守ってきた店だからこそ、気持ちのよい閉店を迎えたいものです。危険な特徴を放置せず、日々の営業活動を続けてください。